論文概要
プラントベースの食事を取り入れることによって一部の疾病を発症するリスクが低下し、環境の面でも有益であることがわかっている。このレビューでは、高所得国に居住する18歳から65歳の成人がプラントベースの食生活を始める際に経験する障壁について、これまでの研究におけるエビデンスを総合して分析した。
文献のシステマティックレビューにおいてはMedline・Embase・Global Health・Web of Scienceを含む4つのデータベースを用いた。さまざまな種類の障壁に対し、COM-Bモデルを用いて行動変容を促す戦略との関連を探った。文献レビューの最終段階で含まれていた研究は10件で、参加者の総数は1740名であった。このうち質的研究は5件、横断研究は4件、介入前後の研究は1件であった。
特定された障壁は合計で40種類あり、これらを大別して以下の11項目のテーマに分類した:経済面の問題・知識の不足・感情面の問題・健康面の問題・利便性の問題・社会的な問題・肉を食べる楽しみ・環境面の問題・入手可能性の問題・個人の能力・メディアの影響。
特定された40種類の障壁のうち、最もエビデンスが高かったのは、健康面の問題として分類された「栄養摂取と栄養面での必要性」であった。この障壁には、プラントベース食を取り入れた場合に栄養面でのニーズを満たせるかどうかについての懸念が含まれていた。
エビデンスとして2番目に高かったのは、個人の能力に関する障壁として分類された「習慣」であり、これには個々人に定着した食習慣、動物性食品を扱う調理などの習慣が含まれていた。また、知識の不足による問題として、プラントベース食として何を食べれば良いのかわからないという障壁も同じく高いエビデンスを示していた。
これらの障壁に対する行動変容のメカニズムとして関連があったのは、プラントベース食に関する教育的な介入策、情報提供やマーケティングのための戦略であった。今後の介入においては、栄養バランスのとれたプラントベース食として何を摂取すれば良いのかを人々に周知し、食習慣の変化を促すことに焦点を絞る必要がある。
Alice Rickerby, Rosemary Green
2024/03/14
Barriers to Adopting a Plant-Based Diet in High-Income Countries: A Systematic Review