論文概要
筋肉量、筋力と身体機能の維持は高齢者にとって極めて重要である。運動に加えて食事からのタンパク質摂取が推奨されているが、最も研究されているのは動物性タンパク質である。植物性タンパク質源は消化率が低く、アミノ酸プロファイルも不完全であるが、新しい革新的な植物性タンパク質や製品では、こうした問題が克服されている可能性がある。
このシステマティックレビューでは、現在の研究を総合し、高齢者(60歳以上)の身体組成・筋力・身体機能に対する植物性タンパク質介入の効果をプラセボと比較した。また、これらのアウトカムに対する植物性タンパク質の有効性が運動によって改善するかどうかについても検証した。
Medline・EMBASE・CINAHL・Cochrane Libraryの各データベースから、2023年1月までの無作為化対照試験を抽出した。対象となった研究は、植物性タンパク質による介入において身体組成、筋力、または身体機能を調べたものである。特定された論文13件のすべてで大豆タンパク質(1日0.6~60g)が用いられ、介入期間は12週間から1年であった。
論文概要では、対照条件(介入なし、運動のみ、動物性タンパク質、または運動+動物性タンパク質による介入)と比べて有意差はなく、筋肉量に対して持続的にプラスの効果があることが報告されていた。筋力および身体機能に対する影響は限られていた。メタアナリシスでは、植物性タンパク質による介入はすべてのアウトカムにおいて対照条件と同等であることがわかった。
結論として、植物性タンパク質による介入によって筋肉量は持続的に向上し、他の介入法と同等であった。今後は脆弱な高齢者のためのタンパク質源としてさらに詳しい検討が求められる。
Isobel L Stoodley, Lily M Williams, Lisa G Wood
2023/09/19
Effects of Plant-Based Protein Interventions, with and without an Exercise Component, on Body Composition, Strength and Physical Function in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials