環境に優しい食習慣は、欧州におけるジェンダー平等と持続可能性の相互強化を反映する

Pro-environmental food practices in EU countries strongly suggest mutually reinforcing improvements in gender equality and environmental sustainability

Joop de Boer, Harry Aiking

2022/10/18

https://doi.org/10.1016/j.appet.2022.106350

論文概要

 

本稿では、環境に配慮した食習慣がEUの女性・男性の間でどのように実践されているかを明らかにするため、ジェンダーの平等と環境の持続可能性の相互関係を検討する。シュワルツの価値理論によればジェンダー平等は社会環境における知的自律性と平等主義の重要度と関連しているとされ、特にこの観点から食習慣の実践とジェンダー平等の関わりについて分析した。

研究では、女性・男性それぞれについて、環境に配慮した食習慣(肉の減量を含む)が、国民所得およびジェンダー平等とどのように相関しているかを検討するため、27カ国から得られた調査データ(ユーロバロメーター95.1、2021年春)に関してマルチレベル分析を行った。

ジェンダーと環境に関する従来の研究では、非常に高い相関関係がジェンダーの平等と国民所得の間に見出されきたが、このような高い相関関係に疑問の余地があることも多い。このため本研究では、問題の検証に適した特性を考慮して、政治におけるジェンダーの平等(議会における女性議員の割合)を取り上げた。

その結果、国民所得と政治におけるジェンダーの平等は、環境に配慮した食習慣(食肉の削減を含む)と相補的な影響を及ぼしあっていた。このような食習慣は、男性では豊かな国ほどより多く実践されており、女性では豊かで政治においてジェンダーが平等な国ほど、この傾向はさらにより強かった。特に女性では、環境に配慮した食習慣を主体的に選択することによって、自律性がさらに発展した可能性がある。このことは、ジェンダーの平等と環境の持続可能性のために相互に強化しあいながら進む、個人の行動における変化を示している。

 

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