プラントベース食と不眠症のリスク

Plant-based dietary patterns and risk of insomnia: a prospective study

https://doi.org/10.1038/s41430-023-01380-x

2023/12/11

Zuo Hua Gan, Tina H. T. Chiu, Chin-Lon Lin, Ming-Nan Lin & Po-Hsiu Kuo

論文概要

 

背景: 食生活に関する要因が睡眠に影響していることを示唆するエビデンスは増えつつある。しかし、食事パターンと不眠症のリスクとの関連についてはよくわかっていない。本研究では、プラントベースの食生活が不眠症リスクの低下と関連しているかどうかについて、コホート研究デザインで検証した。

方法: 2007年から2009年に慈済健康研究 Tzu Chi Health Study に登録された参加者5821名を対象として、2018年までの追跡調査を実施した。プラントベースの食事パターンへの遵守度を評価するため、ベジタリアンと非ベジタリアンを比べる従来の分類法に加え、健康的なプラントベース食(hPDI)のスコアを用いた。不眠症の発症に関しては、国民健康保険調査データベース National Health Insurance Research Database (NHIRD) との間でデータを連結して確認した。プラントベースの食生活と不眠症との関連は、Cox 比例ハザードモデルを用いて推定した。

結果: 55,562人年の追跡調査において、不眠症の発症が確認されたのは合計464例であった。ベジタリアンにおける不眠症のリスクは、非ベジタリアンと比較して低く、そのハザード比*(HR)は男性では 0.47(95% CI: 0.27, 0.81)、女性では0.71(95% CI: 0.55, 0.91)となっていた。遵守度に関する五分位の群間比較では、hPDI が最も高い男性参加者では、不眠症のリスクは、最も低い参加者に比べて有意に低下していた(HR 0.50 [95% CI: 0.30, 0.85])。女性参加者では、hPDI の遵守度と不眠症には有意な関連は見られなかった。

結論: ベジタリアンの食生活は不眠症のリスクが低いことと関連していることが明らかとなったが、hPDI の遵守度と不眠症リスクの関連には性差がある可能性がある。こうした関連は望ましいものであり、プラントベースの食生活が睡眠にも効果があるとすれば、重要な意義がある。

* 単位時間当たりにイベントが発生する相対的な危険度(ハザード比が0.47の場合、危険度は0.47倍となる)

 

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