持続可能なプラントベースの食習慣 肥満への影響に関するシステマティックレビュー

論文概要

 

食料システムは環境に重大な影響を及ぼしており、土地利用の問題や畜産による温室効果ガス排出、森林破壊、食品廃棄の原因となっている。食の持続可能性では、食料の生産・流通・消費が環境に及ぼす影響を配慮することが求められている。動物性食品は植物性食品に比べ多量の温室効果ガスを排出することから、排出の削減に向けてプラントベースの食習慣への移行が促されている。

EAT-Lancet 食* をはじめとする持続可能な食事パターンでは、地域ごとの食習慣に合わせたプラントベース食品の摂取が重視されている。こうした食事パターンは、環境に配慮すると同時に人類の健康増進につながるものであり、肥満や慢性疾患といった問題に対応することができる。

肥満が健康に及ぼす影響は世界的に重要な課題であるが、食料の生産・消費と複雑に絡み合っていることから、持続可能な対策が求められており、生態系への負荷を軽減するとともに健康的な生活様式を推進する必要がある。肥満の問題に取り組むためには包括的な戦略が不可欠であり、個人の健康だけでなく、食料システムが広く環境に及ぼす影響にも対処する必要がある。

本稿ではプラントベース食と肥満の関係を検証するため、体格指数(BMI)と体脂肪評価を調査した研究のシステマティックレビューを行った。先行研究は限られているものの、プラントベース食、特に健康的なプラントベースの食生活が肥満率の低下につながることが示唆されている。今後の縦断研究と介入研究ではこの問題についてさらにコンセンサスを確立する必要がある。

* プラネタリーヘルスダイエットとも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法。

 

原文タイトル:Plant-based and sustainable diet: A systematic review of its impact on obesity

論文著者:Sara P Mambrini, Claudia Penzavecchia, Francesca Menichetti, Andrea Foppiani, Alessandro Leone, Marta Pellizzari, Federica Sileo, Alberto Battezzati, Simona Bertoli, Ramona De Amicis

公開日: 2025/01/29 

論文URL:https://doi.org/10.1111/obr.13901

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