大学カフェテリアにおける気候変動ラベルが食事内容・認識・態度に与える影響

論文概要

 

気候変動は公衆衛生における喫緊の課題であり、より持続可能な食習慣の選択へと転換する戦略をはじめ、多分野にわたる強力な対策が求められている。大学のカフェテリアでは、メニューに気候変動に関する情報をラベルで表示することによって短期的・長期的に食品の選択を転換できる可能性がある。

本研究では、米国メリーランド州の私立大学にある2カ所のカフェテリアにおいて、食品の温室効果ガス排出量を交通信号で表示する気候ラベルをメニューに導入し、この介入の前後における参加者の食事内容と認識、カフェテリアにおける食材の仕入れ状況を比較した。

メニューサイクルを合わせた4週間のベースライン期間と比較し、参加者が摂取した食事内容の全体的な質には有意な変化はなく、主な食品群を摂取する頻度にもほとんど差がなかった。調査に参加した学生186人のうち、メニュー上の気候ラベルに気づいたのは33%で、ラベルによる情報提供を引き続き希望したのはほぼ半数の48%であった。

ラベルは食品の選択には影響しないと回答した学生が多く、その割合はカフェテリアでは56%、その他の場所では67%となっていた。学生の60%以上は肉を含む食事が健康的であると考え、約40%は肉を含まない食事では満足感が得られないと考えていた。

気候ラベルは、食の選択が気候に及ぼす影響に関する認識を向上させるために大学が採り得る重要な戦略である。しかし、大学カフェテリアにおける温室効果ガス排出量を削減するためには、それ以外にメニューの食事内容を変更するといった戦略が必要となる可能性がある。

 

原文タイトル:Climate change menu labels in a university cafeteria: effects on student's diets, perceptions, and attitudes

論文著者:Julia A Wolfson, Daphene Altema-Johnson, Ariana Yett, Elham Ali, Brent Kim, Nina Carr, Raychel Santo, Clara Cho, Graham Browning, Rebecca Ramsing

公開日: 2025/04/04 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.appet.2025.108001

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