論文概要
この論文では、マヨネーズを植物性マヨに切り替えることでどれだけの動物の命を救うことができるのか、カリフォルニア大学サンタバーバラ校キャンパスの食堂を例に、調査を行っている。
米国で飼育され、屠殺される陸上動物の大半は鶏であり、ストレスが多く、不衛生で、非人道的な工場畜産の環境のもとで短い一生を送っている。なので、多くの動物擁護団体にとって、鶏肉や卵を植物性のものに置き換えることは優先すべき事項となっている。
この論文では、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の例から、卵を植物性の代替品に切り替えることで、どれだけの鶏の命が救われるのか、また気候変動への影響についても調査を行っている。
UCSBでは、2016年に、卵由来のマヨネーズを植物性のマヨネーズに置き換える食堂プログラムを実施した。このとき、植物性マヨネーズに切り替える、朝食の卵の50%を豆腐に置き換えるといったことが動物や環境にどう影響するか調べるため、様々なシナリオを作成している。(例えば、複数キャンパスに広げた場合の影響や、もし全米のすべての人が同じことを行った場合の影響などについて調べている)
UCSBで卵由来のマヨネーズがどれぐらい使用されているのかデータを集め、また、米国農務省や他の情報をもとに、卵産業でどれぐらいの鶏が使用されているのか(また、どのように扱われているのか)について分析を行った。
研究は、例えば、1年生はキャンパス内で1日3食食事する、しかしその他の人はキャンパス内でランチしか食べない、また、卵は朝食でのみ食べるもの、といった幾つかの仮定に基づいて行われているため、論文で出した値は実態よりやや低い値となっている可能性がある、と論文内で述べていることについては留意しておく必要がある。
結果として、生まれてから産卵能力が衰えるまでの間に、1000個の卵を産むには、6.3羽の鶏が必要であることが分かった。この数字は、オスのひよこや産卵前に殺されたメスを考慮することで、考慮前より高い数字となっている。つまり、人々が卵の消費を減らすことで、想像以上に多くの命が救われることになる。
UCSBの植物性マヨ・プログラムの1年間で、14羽の鶏の命が助かることになった。また、環境への寄与として、0.11Mtの温室効果ガス排出を削減、4kgの反応性窒素の大気への流出を抑制、14立方メートルの水を節約している。
もしカリフォルニア大学の全キャンパスで植物性マヨの切り替えが行われれば、更に924羽の鶏の命が救われることになる。
更に、もしカリフォルニア大学全キャンパスの1年生全員が卵を使った朝食の50%を豆腐に切り替えた場合、9,245羽の鶏の命が救われ、8213立方メートルの水を節約、85Mtの温室効果ガス排出を削減、2,627kgの有害窒素の放出を防ぐことができる。
カリフォルニア大学関係者全員が卵の50%を豆腐に置き換えた場合だと、その効果は43倍になり、家族も含めて行った場合だと、効果は127倍になる。もし全米の朝食が卵から豆腐に50%切り替わった場合、年間460億個の卵を減らすことができる。

著者は、特に大学キャンパスにおいて、卵の使用削減を支援するため、幾つかの提案を行っている。例えば、動物擁護者は、メニューに植物性の食事を奨める、アピールする説明を入れるなどの方法で、より目につきやすく魅力的なものにすることができる。また、植物性由来の卵製品を選ぶことの重要性についての情報を、学生や教職員に提供することもできる。最後に、著者は、ヴィーガンエッグをキャンパス内のメニューのデフォルトとすることも推奨している。
※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。
Vegan Egg Products Help Chickens And The Environment – Faunalytics
原文タイトル:How many chickens does it take to make an egg? Animal welfare and environmental benefts of replacing eggs with plant foods at the University of California, and beyond
論文著者:Cleveland, D. A., Gee, Q., Horn, A., Weichert, L., & Blancho, M.
公開日: 2020/09/08

