プラントベースと肉類ベースのドッグフード 代謝プロファイルの変化はほとんどない

論文概要

 

背景: 犬は草食動物ではなく雑食動物であるが、完全にプラントベースのドッグフードも開発されており、現在知られている栄養基準を満たすことは可能である。しかし、動物由来の栄養素を含まないフードを与えた場合に代謝にどのような影響があるかはほとんど知られていない。フードによる動物の代謝や生理機能への影響について、代謝プロファイルを用いれば通常の健康診断よりも詳しく検証することができる。

方法: 健康な成犬61頭を対象として3ヶ月間の縦断試験を実施し、押出成形技術で製造されたドッグフードを与えた。このうち31頭には実験的に製造されたプラントベースのヴィーガンフード(PLANT食)、30頭には肉類を含む市販のフード(MEAT食)を与え、血清成分の代謝プロファイルを比較した。これらのフードはいずれも維持期の成犬を対象とした業界の栄養基準を満たしており、タンパク質および脂肪の総含有量は同等であったが、アミノ酸と脂肪酸のプロファイルには違いがあった。遊離アミノ酸とタンパク質、一炭素単位、炭水化物、脂肪酸、脂質の代謝物に関する分析は、試験の開始および終了の時点に実施した。有機酸と脂質の代謝物は直接注入型液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法を用いて測定し、一炭素単位の代謝物および葉酸代謝経路の代謝物の測定には液体クロマトグラフィー・多重反応モニタリング質量分析法、脂肪酸にはガスクロマトグラフィーをそれぞれ用いた。試験期間中に与えたフードの違いが代謝に与えた影響について、反復測定混合モデルを用いて比較検証した。

結果: 全体として、PLANT食とMEAT食で代謝物に違いが認められたのは、アミノ酸・タンパク質では47種のうち11種、一炭素単位および葉酸代謝経路では29種のうち3種類、脂肪酸では61種のうち21種、脂質では78種のうち27種であった。炭水化物では代謝物16種で違いは見られなかった。

PLANT食を続けた犬では、硫黄アミノ酸の代謝に変化はほとんど見られなかったが、PLANT食に多く含まれる分岐鎖アミノ酸(BCAA)のイソロイシンとバリンの血清値は低下しており、これは想定外の結果であった。一方、BCAA ケト酸では違いは見られなかった。PLANT食の犬では血清クレアチニンが減少していたが、クレアチンではこれに見合う変化は見られなかった。また、PLANT食では脂肪が多く含まれるが、血清中の総脂肪酸、脂肪酸のオメガ6/オメガ3の比率は低下していた。

要約すると、PLANT食を3ヶ月間与えられた犬では、MEAT食の犬と比較して代謝にはほとんど変化がなく、検出された変化のほとんどは食事組成の違いに起因するものであった。

考察: 成犬のドッグフードに含まれる動物性材料の有無によって3カ月間で栄養素の代謝に生じる違いはわずかであることを明らかにした。これらの結果をもとに、今後の研究では栄養組成の異なるプラントベース食を使用し、生理機能に及ぼす長期的影響、様々なライフステージや健康状態との相互作用について検証する必要がある。

 

原文タイトル:Metabolic profiles show few differences in serum amino acid, one-carbon, and fatty acid compounds in dogs fed a plant-based (vegan) or meat-based diet

論文著者:Sarah A S Dodd, Jennifer L Adolphe, Anna K Shoveller, Cate Dewey, Deep Khosa, David W L Ma, Sarah K Abood, Adronie Verbrugghe

公開日: 2026/06/09 

論文URL:https://doi.org/10.3389/fvets.2025.1706965

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