「ペットはアンバサダー」仮説の実証 動物に対する男性の共感性は、ペット・オーナーになると強まる

Support for the ‘Pets as Ambassadors’ hypothesis in men: Higher animal empathy in Australian pet-owners vs non-owners and farmers

Georgia Anne Frampton, Jessica Lee Oliva

2024/05/03

https://doi.org/10.1017/awf.2024.25

論文概要

 

人間以外の動物に対する人間の共感性(Animal Empathy; AE)には強い性差があり、そのレベルは女性の方が男性よりも高い。本研究の目的は、男性のみを対象としたサンプルにおいて、動物に触れた経験がAEに及ぼす影響を調査することを目的とした。研究の仮説としては、ペットを飼った経験のある男性、畜産業に従事した経験のある男性、動物に触れた経験が乏しい男性では、AE の強さが異なると予想した。オーストラリア人男性91名(18歳以上)を対象に、動物共感尺度*(AES)を用いて AE のレベルを評価するオンライン調査を実施した。さらに、動物の考えや感じ方についての信念に影響を与えたと思われる経験について質問した。

予想されたように、AE のレベルはグループ間で有意に異なり、ペットと生活した経験のあるグループは他の2グループよりも高い AE レベルを示した。3つのグループとも、成年期において動物と直接的な交流を持ったことが、動物の考えや感じ方についての信念を形成する上で最も影響したことを認めていた。しかし、行動尺度の定量的分析による今回の研究結果から、AE の発達においては、どのような経験でも同じように効果があるわけではなく、ペットのケアで求められる責任と献身が最も影響することを示している。これらの知見は、動物の感覚や男性におけるAEの発達を理解するうえで、人間と動物の交流が重要であることを示唆している。

* 動物に対する共感的な感情反応の強さを測定する22項目の評価尺度

 

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