ドイツにおいて食肉課税への国民の支持を決定する要因ーアニマルウェルフェアは気候変動緩和よりも強い

Animal welfare is a stronger determinant of public support for meat taxation than climate change mitigation in Germany.

Grischa Perino, Henrike Schwickert

2023/02/16

https://www.nature.com/articles/s43016-023-00696-y

論文概要

 

食肉に対する課税は、食肉生産に関連する気候への影響やアニマルウェルフェアの問題への取り組みに役立つ可能性がある。本研究では、ドイツ市民2,800人以上を対象とした国民投票を模した選択実験において、食肉への課税に対する有権者の態度を検証し、課税水準とその差別化・課税を正当化する根拠・食肉消費における行動変容の大きさといった税の属性を様々に変化させてテストした結果、食肉課税に対する支持を引き出すことができた。

税属性のパターンに関わらず、最も低い課税水準においてのみ、大多数の有権者から支持を得られた。課税を正当化する根拠としては、気候変動の緩和よりもアニマルウェルフェアを理由とする税制の方が全体的により強く支持されていた。

食肉に対する一律の課税に比べて、税率を製品の有害性に連動させる差別化課税は、高い支持は得られなかったが、このような税率の差別化に対する関心の乏しさは、差別化が消費に与える効果を予測できないためではなかった。食肉税の導入は依然として難しい政治課題であるが、以上の結果は、食肉に課税する根本的な理由や目標とする行動変容について、政策立案者が明確に説明する必要があることを示している。

 

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