論文概要
- フィンランドでは、肉と植物性タンパク質の消費の移行がある程度まで進みつつある
- 過去の肉と植物性タンパク質の消費量の変化についての自己報告から、4つの異なる消費者クラスターが見いだされた
- 4つのクラスターのうち2つでは、肉の消費量が減少し植物性タンパク質の消費量が増加していた
- 健康や自然への関心といった食に関する考え方から、よりプラントベースの食事へと食生活を変える意欲の程度が予測できた
- 若いこと・女性であること・高学歴であること・都市部に住んでいることなどの特徴から、赤身肉を減らしてプラントベースの食品を増やす方向への変化が予測された
近年、生態系や健康、アニマルウェルフェアへの影響のため、欧米の食文化における食肉の位置づけが問われている。本研究では、フィンランドでプラントベース食品の市場参入が顕著になって以降の新たな状況において、肉と植物性タンパク質の消費量の変化に関する消費者からの報告を調査した。研究は、フィンランド在住の18~79歳の消費者を対象としたオンライン調査(N=1,000)に基づいている。
潜在クラス分析を用いて、過去の肉と植物性タンパク質の消費量の変化に関する自己報告から4つの消費者クラスターが特定された。最も大きなクラスターは「変化なし」(回答者の43.3%)、次いで「赤身肉を減らし、植物性タンパク質を増やす」(30.4%)、「赤身肉を減らし、鶏肉を増やす」(17.9%)、「肉は食べない・ほとんど食べない、植物性タンパク質を増やす」(8.4%)であった。
これらのクラスターは、性別・年齢・教育レベル・居住地域などの社会人口統計学的な特徴において異なっていた。一元配置分散分析では、食への嫌悪感・自然への関心・健康と喜びの動機について、クラスターの間では違いが見られた。さらに、肉類・豆類・植物性タンパク質の食品に対する考え方に関してもクラスターによって異なっていた。これらの結果は、消費者の間で肉食を控えた食生活への関心が高まっていることを示唆しており、より持続可能な食事パターンへの社会的移行が必要とされていることを示している。
Elina Nevalainen, Mari Niva, Annukka Vainio
2022/10/29
A transition towards plant-based diets on its way? Consumers’ substitutions of meat in their diets in Finland