ヨーロッパにおける食肉税は低所得消費者に過度の負担なく設計できる

Meat taxes in Europe can be designed to avoid overburdening low-income consumers

D. Klenert, F. Funke & M. Cai

2023/10/02

https://doi.org/10.1038/s43016-023-00849-z

論文概要

 

近年ヨーロッパのいくつかの国々では、より持続可能な食料システムを実現するための努力の一環として、食肉に対する消費税が検討されている。しかし、このような課税によって低所得世帯に不釣り合いに大きな負担を強いるのではないかという懸念がある。ここでは、さまざまに異なる食肉税の税制設計と税収リサイクリング・スキームについて、大規模なヨーロッパ諸国のサンプルにおける分配への影響という観点から比較する。

その結果、すべての税制設計において、無補償型の食肉税はわずかに逆進的であることがわかった。しかし、このような所得格差への影響は穏やかであり、ほとんどの場合、一律の一括所得移転(lump-sum transfer)による税収リサイクルで逆転させることができる。食肉から得られる税収を青果物への付加価値税の引き下げに充てる場合、逆進性は緩和できるものの、完全に埋め合わせることはできない。分配への影響のばらつきは、消費パターンにおける国々の違い、単位ベースの課税と従価税に関する税制上の選択、温室効果ガス強度による税率の差別化によって説明できる。

 

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