ヴィーガンをどうやって見分けるか? 同調圧力と菜食主義、古典的心理実験による検証

How do you know someone's vegan? They won't always tell you. An empirical test of the do-gooder's dilemma

Jan Willem Bolderdijk, Gert Cornelissen

2021/09/28

https://doi.org/10.1016/j.appet.2021.105719

論文概要

 

肉を使わない食生活にメリットがあると考える人は(個人としては)増えつつある。しかし、社会全体として見ればプラントベースの食事への移行はゆっくりとしか進んでいない。肉を食べないという個人レベルの嗜好が、人々の毎日の食事選択において形になって現れないのはなぜだろうか。これに対する説明の一つとしては、ベジタリアンやヴィーガンは現時点ではまだ少数派であるため、スティグマ(烙印)を押されることを心配し、肉を食べる人々との付き合いでは自分の嗜好を表に出したがらないということが考えられる。つまり、ベジタリアンやヴィーガンが自ら沈黙することで、肉を使わない食事はニッチな現象に過ぎないという考え方が強まってしまい、その結果、他の人々も肉食を控えようとは考えなくなって、非ベジタリアンの規範がそのまま続いているという可能性がある。

同調行動に関するアッシュの古典的実験パラダイム*1を応用すると、ベジタリアンとヴィーガンの参加者は、肉を食べない嗜好を表明することをためらっていることがわかった。すなわち、ヴィーガン食を推進する請願書への署名活動において、多数派である偽の被験者*2が署名しなかった場合、ヴィーガンとベジタリアンの参加者は請願書に署名するのを避けた。しかし、実験者がヴィーガン食を推奨した場合、ベジタリアンとヴィーガンの参加者は多数派に逆らって署名した。

これらの知見を総合すると、模範となる他者の行動や制度が極めて重要な役割を担っていることがわかる―すなわち、肉を使わない食事を支持する味方の存在を示すことで、ベジタリアンやヴィーガンは、肉を食べないという少数派の嗜好を自由に表明できるようになり、これによってより広い社会の変化を加速させることができるかもしれない。

*1 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%81%AE%E5%90%8C%E8%AA%BF%E5%AE%9F%E9%A8%93  *2 この場合、請願書に署名しないように実験者があらかじめ仕込んだ偽の被験者(サクラ)を指す

 

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