世界の食糧システムによる温室効果ガス排出で、1.5度と2度の気候変動目標の達成は困難になる

Global food system emissions could preclude achieving the 1.5° and 2°c climate change targets

Michael A Clark, Nina G G Domingo, Kimberly Colgan, Sumil K Thakrar, David Tilman , John Lynch, Inês L Azevedo, Jason D Hill

2020/11/06

https://www.science.org/doi/10.1126/science.aba7357

論文概要

 

パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前の水準より1.5度または2度に抑えることを目標としているが、そのためには温室効果ガス排出量の急速な削減が必要である。この目標を達成するためには、化石燃料からの排出を削減することが不可欠であるが、それ以外の他の排出源も目標の達成を妨げる可能性がある。

この研究では、化石燃料の排出をただちに止めたとしても、世界の食糧システムにおける現在の傾向が続けば1.5度の目標は達成できず、今世紀末には2度の目標の達成も困難となることを示す。

1.5度の目標を達成するには、食糧システムだけでなく、食糧以外のすべての産業部門においても急速かつ大胆な変化が必要である。2度の目標については、食糧システムをそれほど大きく変えることなく達成できる可能性はあるが、これは化石燃料や、食糧以外の他の産業部門からの排出を速やかに完全に止めた場合に限られる。

 

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