予測分析から感情認識へ:進化するコグニティブ・コンピューティング、アニマルウェルフェアにおける展望

From predictive analytics to emotional recognition–The evolving landscape of cognitive computing in animal welfare

Suresh Neethirajan

2024/02/24

https://doi.org/10.1016/j.ijcce.2024.02.003

論文概要

 

  • コグニティブ・コンピューティングは農業と畜産に新たな形を与える
  • コグニティブ・システム(認知システム)は人間の思考を模倣し、農業に影響を与える
  • コンピューティングによって動物行動の微妙な変化を検出して動物の幸福に役立てる
  • コンピューティングの倫理的利用はアニマルウェルフェア研究の鍵となる

本稿では、データサイエンスと認知に関わる技術の融合によって畜産動物の行動や感情を読み解くことを探究する。研究の焦点は、デジタル画像と人工知能を戦略的に応用して畜産動物の微妙な行動パターンや微細な表情を識別すること、それによって動物たちの感情の状態を予測する窓となる方法を提供することにある。(動物たちの)複雑なコミュニケーション信号や感情の機微の解釈においては、発声に関する音響学的分析がとりわけ重要である。ミラーテストやバイアス・アセスメントなど、動物の認知能力の検査法にも検討の範囲を拡げ、畜産動物の自己認識や認知能力が従来考えられていたよりも高いレベルであることを明らかにする。

本稿ではまた、相乗的なアプローチの必要性を強調しつつ、技術の進歩に動物心理学・行動学についての深い理解を融合させることを提唱する。これによって技術は、アニマルウェルフェアの伝統的な観察手法に取って代わるのではなく、むしろさらに向上させることが可能となる。考察では、認知能力を測定する様々な方法論やアルゴリズムについて掘り下げ、アニマルウェルフェアを推進する上でコグニティブ・コンピューティングが極めて重要な役割を担うことを説明する。これらの技術を慎重かつ十分な情報に基づいて応用することを提案し、技術が人間と動物の本質的な絆を損なうのではなく、より強くする役割を果たすことを強調する。この批判的レビューでは最後に、倫理的・共感的で科学的根拠に基づいたやり方でコグニティブ・コンピューティングをアニマルウェルフェアの実践に統合することを求める。

 

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