人間と動物の関係に作用する非人間化のプロセス

Inhuman animals: moving dehumanization into the domain of human–animal relations

Sarah Gradidge, Joaquín Alcañiz-Colomer, Steve Loughnan

2023/02/24

https://doi.org/10.1016/j.cobeha.2023.101249

論文概要

 

  • 人々は、外部の人間集団を非人間化するのと同じやり方で、動物を「非人間化」する
  • 動物の「非人間化」には、動物に心があることや動物に対する道徳的配慮の否認が含まれる
  • 動物に対するこうした虐待を減らすために考えられる今後の方向性を提示する

非人間化のプロセスに関する研究で確立された知見によれば、他者や外部の集団に人間的な性質を認めるかどうかについて、人々は様々に異なった見方をしており、このことは(人間として扱われない)非人間化された者にしばしば不利な結果をもたらしている。

本稿では、これと同様のプロセスが異なる生物種の間でも働いていることについて議論する。すなわち、人々は動物に心や人間的な性質があることをあまり認めようとせず、このために動物の道徳的地位や扱いが悪いものになるということである。最近の研究では、畜産動物に心があることを人々が否認する際には動機があることが明らかにされており、本稿ではこれについて概説する。さらに、畜産動物に道徳的な配慮が向けられないのは、このように心の存在が否認されるためであるとする知見について検討する。

最後に、畜産動物に心があることを認め、動物に対する道徳的配慮を向上させるために考えられるいくつかの方途について探究する。これまでの研究では、雑食の人々が畜産動物について考えるとき、人間のグループ間における非人間化に似たプロセスが働くことが明らかにされているが、今後の研究では、どうすればこれを防ぐことができるかについて理解を深める必要がある。

 

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