動物の心について、人々はあまりに懐疑的である

Changing minds about minds: Evidence that people are too sceptical about animal sentience

Robbie M. Sutton, Kristof Dhont, Karen M. Douglas, Zara M. Bergström

2022/09/12

https://doi.org/10.1016/j.cognition.2022.105263

論文概要

 

動物たちと我々の関係は、彼らの感覚や苦痛を感じる能力を我々がどう見るかによって変わってくる。しかし、動物の心に関する人々の信念が概ね正しいものなのかどうかについて、見解の一致はほとんど得られていない。

本研究で開発した新しい実験課題では、動物の心に関して、常に正確とは限らないが有益な情報を参加者に提示し、それに対して人々がどのように自分の信念を更新していくかを調べた。これにより、(更新を重ねて)参加者が事後的に抱いた信念と、ベイズの定理に従う模範的な参加者が抱くはずの信念を比較することが可能となった。

5つの研究(うち4つは事前登録された研究、参加者合計=2417人)において、参加者は、動物に心がないことを示す情報に対して、自分の信念をシフトさせすぎた(すなわち、模範的な参加者が辿り着くはずの信念を超えるほど大きく自分の信念を修正した)。しかし、動物に心があることを示す情報に対しては信念をシフトさせなかった(すなわち、模範的な参加者なら抱くはずのところまで信念を更新できなかった)。最後の研究では、このような効果は、信じる対象が(動物ではなく)人間である場合には弱まることが明らかになった。

これらの結果は、人々が動物の心を不正確と言えるほどに過小評価していることを示しており、動物の心についての情報を軽視する際には、信念を更新する心の働きが作用していることを強く示している。研究結果について、動物に対する人間の優位性に関する種差別的信念との関連を議論する。

 

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