動物の視覚化は肉の選択に影響するか 模擬ビュッフェにおける実験研究

Investigating the effect of animal visualisations on meat choice: An experimental lab study with a fake food buffet

Nina Weingarten, Alice Elena Seffen, Leonie Bach, Julia Meis-Harris, Anna Aeikens, Sara Barbieri, Simone Dohle

2025/03/09

https://doi.org/10.1016/j.foodqual.2025.105508

論文概要

 

  • 模擬ビュッフェにおいて動物の姿を視覚化した場合の効果を調べた
  • 視覚化によって認知的不協和が起こり、肉の選択は減少するという仮説を立てた
  • 動物を視覚化しても、認知的不協和にも肉の選択にも影響しなかった
  • リアルな動物の視覚化と絵図による動物の視覚化では効果に違いはなかった
  • オンライン研究で見られていた効果は、現実的なビュッフェでは再現できなかった

肉を多量に摂取することは健康や環境に対して望ましくない影響を与えている。さまざまな研究から、(肉製品の横に動物の写真を置くなど)動物の姿を視覚化すると認知的不協和が誘発され、肉を食べる意欲が低下することが示されている。しかし、これらの先行研究のほとんどは、オンライン環境において実施されたものである。

そこで本研究では模擬ビュッフェにおける実験を実施し、より現実的な状況で動物を視覚化した場合に肉の選択に及ぼす影響について調べた。被験者間デザインを採用し、リアルな画像を用いた条件、絵図を用いた画像の条件、画像なしの対照条件のそれぞれに参加者107名を割り当てた。参加者が模擬ビュッフェで選択した食品全体に占める肉の重量割合を従属変数として、3つの条件間で比較した。

事前登録した仮説に反して、動物を視覚化した条件と対照条件では肉の選択に違いはなく、リアルな画像と絵図を用いた条件でも違いは見られなかった。さらに、認知的不協和による影響を示す結果も得られなかった。従って、現実的な状況において動物の姿を視覚化した場合に得られる効果は、オンライン研究で見られる効果に比べて弱いと結論できる。

 

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