家庭の食生活に関連する温室効果ガス排出 英国の食習慣と人口統計学的要因が及ぼす影響

Eating habits and sociodemographic factors impact household dietary greenhouse gas emissions reduction in Great Britain

Tony W. Carr, Arli Guadalupe Zárate-Ortiz, Anouk Reuzé, Grace O’Donovan, Hassan Mahfouz, Sarah Nájera Espinosa, Rosemary Green & Pauline F. D. Scheelbeek

2025/04/22

https://doi.org/10.1038/s43247-025-02252-x

論文概要

 

英国の温室効果ガスの排出量は、食習慣を変えることで大幅に削減することが可能である。食生活のガイドラインでは、肉と乳製品の消費を減らし、プラントベース食品を増やすことが推奨されているが、こうしたシフトが可能な家庭ではどのような購買習慣があるかはよくわかっていない。

英国の約30,000世帯における2012年から2019年の食品購入データを分析した結果、食生活に関連する温室効果ガス排出量を34%削減した709世帯が特定された。潜在クラス分析では、これらの世帯の中には2つの異なるクラスターがあることがわかった。すなわち、プラントベースの食生活を選択した世帯では、肉と乳製品を減らすことで食生活がより健康的なものになっていたが、一方では肉を乳製品とインスタント食品に置き換えた世帯もあり、食生活はより健康的でない方向へと変化していた。

プラントベース食品を選択した世帯は、全般的に教育水準が高く、高収入で45歳以上の中高年齢層であり、世帯の規模は少人数であった。乳製品やインスタント食品にシフトした世帯はさらに高年齢層で、世帯は少人数であった。

健康的で持続可能な食生活を支えるには、栄養価の高いプラントベース食品を購入しやすい価格とし、入手可能性や利便性を高める必要があり、そのためにターゲットを絞った政策措置が求められる。

 

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