論文概要
動物性食品の消費、なかでも(牛・羊・ヤギなど)反芻動物の赤肉を食べることは、温室効果ガスの排出・淡水の利用・生物多様性の喪失の主な原因となっている。赤肉の消費削減は、気候変動を緩和するために極めて重要な戦略であることがわかっているが、米国においてその削減を促進するうえで有効な介入方法についてはほとんど知られていない。本研究の目的は、食肉(赤身・未加工肉・鶏肉)と魚介類の消費パターン、その消費に影響を与える要因(経時的変化としての消費削減を含む)を調べるととともに、それらに対する社会経済的な要因の影響を検証することである。
2021年の米国の人口を代表するサンプル(1224名)をKnowledgePanel® を用いて取得し、オンライン調査を実施した。全体として、ほとんどの参加者は週に1~4回、肉を食べていると回答したが(赤肉 78%・加工肉 74%・鶏肉 79%)、その消費パターンには社会人口学的特性によっていくつかの違いがあることがわかった。肉の消費量を前年より減らした人の割合は、赤身肉で70%、加工肉では64%であり、鶏肉(34%)や魚介類(26%)における割合を大きく上回っていた。
赤肉の消費削減に影響を与える主な要因は、健康と価格であった。その一方で、特に一部の社会人口学的グループにおいては、環境の持続可能性とアニマルウェルフェアはあまり重要視されていなかった。これらの結果は、気候変動を緩和するために米国の食肉消費の転換をめざすキャンペーンにおいて、どのような情報提供が最適であるのかを考える上で有用な知見となる。より消費者の心に響く要素に焦点を当てることによって、消費パターンの転換につながる可能性が高まると考えられる。
Shauna M Downs, Emily V Merchant, Joachim Sackey, Elizabeth L Fox, Claire Davis , Jessica Fanzo
2024/12/01
Sustainability considerations are not influencing meat consumption in the US