血のない肉: 実験室で作られた肉がもたらす公衆衛生上の利点

Flesh without blood: The public health benefits of lab-grown meat

Jonny Anomaly, Heather Browning, Diana Fleischman, Walter Veit

2023/09/01

https://doi.org/10.1007/s11673-023-10254-7

論文概要

 

動物の細胞から作られた合成肉は、私たちの食生活を一変させるだろう。動物を飼育し屠殺する必要がなくなるため、苦しみを減らすことができる。しかし、広く消費されるようになれば、公衆衛生の面でも大きなメリットがある。本稿では、「クリーン・ミート」が、抗生物質への耐性や環境汚染、インフルエンザやコロナウイルスのような人獣共通ウィルス感染症など、集約的な畜産に伴うリスクをどのように軽減できるかについて論じる。

クリーン・ミートに反対する意見で最も一般的なのは、それを「嫌悪感」や「不自然さ」と感じる人がいることであるが、私たちはその嫌悪感の心理を探ることで可能な対策を見出す。クリーン・ミートがもたらす公衆衛生上の利点は、開発と消費を推進するための強い道徳的根拠となり、大衆が支持しやすい方法で取り組むことができる。最後に、畜産動物からクリーン・ミートへの転換を社会における集合行為問題(collective action problem)*として描出し、強制的な法規ではなく社会規範によって解決するべきであることを提案する。

*全ての個人が協力すればより良い結果を得られるにもかかわらず、個人間の利害対立により共同行動が阻害され、協力に失敗してしまう状況を指す(Wikipedia より抜粋)

 

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