食品は健康と環境にさまざまな影響を及ぼす

Multiple health and environmental impacts of foods

Michael A Clark, Marco Springmann, Jason Hill, David Tilman

2019/09/24

https://doi.org/10.1073/pnas.1906908116

論文概要

 

食の選択は、人類の健康と環境の双方に悪影響を及ぼす形で世界的に変化しつつある。ここでは、15種類の食品について、それぞれを1日に1食多く摂取することが健康と環境へどのように影響しているか、成人の健康に関するアウトカム5項目および農業に起因する環境悪化の5つの側面を取り上げて考察する。

食品の健康アウトカムにはかなりのばらつきがあるものの、ある1つの健康アウトカムにおいて疾病リスクを大きく減少させる食品は、他の健康アウトカムにおける疾病リスクも大きく減少させることが多いことがわかった。同様に、環境に対する有害性の指標の1つにおいて影響が小さい食品は、他の指標に対する影響も低い傾向があった。さらに、健康アウトカムの向上と関連のある食品(全粒穀物・果物・野菜・豆類・ナッツ類・オリーブ油・魚)では、環境に対する影響に関しても、魚を除く全ての食品においてその影響は極めて小さかった。また、魚についても、赤身肉や加工肉に比べれば、環境に対する影響は著しく小さかった。環境への悪影響が最も大きい食品としての未加工および加工済の赤身肉には、疾病リスクの最も大きな上昇と一貫して関連が見られた。

したがって、より健康的な食品をより多く摂取する方向へと食生活を移行させれば、環境の持続可能性も全般的に向上することになる(ただし、糖質を多く含む加工食品は健康に害を及ぼすものの、環境への影響は比較的低い可能性がある)。これらの知見は、食の選択が健康と環境に及ぼす様々な影響について、消費者・政策立案者・食品業界における理解の向上に資するものである。

 

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