食生活と主要栄養素が老化に及ぼす影響 UKバイオバンクからの多元的エビデンス

Multi-dimensional evidence from the UK Biobank shows the impact of diet and macronutrient intake on aging

Chen Zhu, Youfa Wang, Xiaosong Yang, Qiran Zhao, Wenyan Xu, Xiaolu Wang, Yanjun Liang, Qihui Chen & Shenggen Fan

2025/02/04

https://doi.org/10.1038/s43856-025-00754-5

論文概要

 

背景: 食習慣は老化に強く関わっているが、個別の食事パターンがヒトの老化にどのような影響を及ぼすかについて、これまでの研究結果は一貫していない。食生活に関わる要因と老化の関係を明らかにすることで、加齢に伴う変化をより健康的なものにできる可能性がある。

方法: UKバイオバンクのベースライン調査および24時間食事評価のデータを分析し、食生活と老化の関連性を検証した。研究では18種類の食品の摂取量、6種類の食事パターン、3種類の主要栄養素の摂取量、食事の質に関する3つのスコアを分析の対象とした。高次固定効果(HDFE)モデルを用いて、食生活に関わる要因と老化に関する指標(テロメア長、表現型年齢、脳灰白質・白質の容積など)の関連を評価した。多変量メンデルランダム化(MVMR)を用いて、主要栄養素の摂取が老化に対して因果的に作用しているかどうかを探索した。

結果: HDFE 分析では、健康的な食生活が老化指標の全般的な改善と関連があることがわかった。プラントベース食品の摂取がテロメア長の増加、表現型年齢の低下と相関していたのに対し、動物性食品の摂取は老化による悪影響と関連していた。MVMR の結果から、炭水化物の摂取がもたらすベネフィットとしては表現型年齢の低下(β= -0.0025; 95% CI = [-0.0047, -0.0003]; p = 0.0253)、全脳の灰白質の容積増加(β= 0.0262; 95% CI = [0.007, 0.046]; p = 0.0087)があり、炭水化物の摂取とこれらの効果の間には因果関係があることが確認された。

結論: 本研究の結果は、食生活が生物学的な老化に大きく影響していることを強く示しており、より健康的な加齢のためには炭水化物の摂取が有益であることを実証するものである。これらの結果は、老化に伴う変化を改善するためには食生活のあり方に対する介入策が有効であることを示唆している。

 

別のFACTを探す