論文概要
公共の場で食事と栄養の問題が話し合われる際に、主要メディアはその議論形成の進め方において中心的な役割を果たしているが、そこで食肉と健康の結びつきがどのように描かれているかについてはほとんど調べられていない。本研究のために事前に行った調査によれば、英国では低所得者層が最も多く肉を食べる傾向がある。こうした人々がよく利用する8つのオンラインニュースサイトに注目し、その中の128件の記事について内容分析を行った。
その結果、第一に、食肉に関しては肯定的な論調と否定的な論調があり、これらはあらゆる報道機関において混在していることがわかった。第二には、赤身肉の摂取を控える、もしくは摂取しないことを推奨する内容が概して優勢であり、サンプルに用いた記事の40%で見られた。第三に、バランスの取れた、もしくは中立的な立場がサンプルの半数以上に見られ、それ以外の記事においては、食肉について反対と賛成の割合は3:2となっていた。
ニュースサイトにおける編集傾向は、食肉消費に対するそのサイトの全般的な姿勢とは特に関わっていないことがわかった。LAD Bibleは明らかに肉食を支持する唯一のメディアであったが、これを除けば、すべてのニュースサイトは中立か、食肉に対してやや反対する傾向を示していた。
質的分析では、赤身肉による大腸がんのリスク、プラントベース食品の選択をめぐる不確実性、食生活における個人の選択の3点が主要なテーマとして明らかになった。これらのテーマに基づいた事例研究においては、ヘルスコミュニケーションにおける問題点を明らかにするとともに、ジャーナリストと研究者の対話の促進に向けた提言をまとめる。
Gilly Mroz, James Painter
2022/06/01
One person's meat is another's poison: representations of the meat-health nexus in UK news media