食肉消費を削減する健康政策が環境にもたらす共益: ナラティブ・レビュー

Environmental co-benefits of health policies to reduce meat consumption: A narrative review

Céline Bonnet, Marine Coinon

2024/02/15

https://doi.org/10.1016/j.healthpol.2024.105017

論文概要

 

  • 食肉消費を減らすための健康関連の政策手段と経済的メカニズムを検証する
  • 健康関連の課税は、食肉消費を減らすための最も効果的な手段となりうる
  • 肉食は気候、生物多様性、水利用、汚染に影響を与える
  • 食肉消費を減らすことで健康的な行動を促進することは、環境に共益をもたらす可能性がある

世界の食肉消費量は、最近の数十年で地域によってその増加率は異なるものの、着実に増大してきた。食肉は人間の健康に不可欠な栄養素を供給するという重要な役割を担っているが、食肉、特に赤身肉や加工肉の過剰摂取は慢性疾患のリスク上昇とも関連している。このため、世界保健機関(WHO)をはじめとする公的機関は、食肉消費の削減を呼びかけてきた。効果的な政策手段を実行に移すことは簡単ではなく、政府が食肉消費による健康コストをいかに効果的に削減するかは今後の課題である。本稿では、食肉消費を削減しうる健康関連の政策手段と潜在的な経済メカニズムについて検討する。

健康に関連する税制は、なかでも最も効果的な手段となりうる。規制とともに、情報提供や行動手段といった他の政策手段も、政策設計によっては食肉消費を抑制することができる。また、気候・生物多様性・水利用・汚染など、環境問題と食肉消費の関りについての証拠も提示する。食肉消費を減らして健康的な行動を促進することで、環境に共益(コベネフィット)をもたらし、より広範で持続可能な発展目標を推進できる。また、環境への共益を実現するために取り組むべき政策課題についても議論する。

 

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