「スポーツをしていなかったら、肉を食べる量は減っていたはず」 身体活動は健康的な食生活にとって敵か味方か?

論文概要

 

背景: プラントベース食は、持続可能で倫理面の問題のない健康志向の選択肢として広く推奨されてきた。しかし、栄養に関する懸念や文化的な要因のために普及が進んでいるとは言えず、こうした影響は男らしさ(男性性)が関わる状況ではさらに強く作用する可能性がある。本研究では身体活動のレベルがプラントベース食品を選ぶ際の障壁となるかどうかを調査するとともに、あまり運動しない人と活発に運動する人ではプラントベース食品に関する認識が異なるかどうかを検証した。

方法: 本研究ではフォーカスグループと調査データの組み合わせによる手法を用いた。イタリア人の参加者26名を、身体活動と食事パターンによって以下の4つのグループに分類した:身体活動レベルの高い雑食、活動レベルの低い雑食、活動レベルの高いヴィーガン・ベジタリアン、活動レベルの低いヴィーガン・ベジタリアン。フォーカスグループでは、タンパク質を豊富に含む食品(動物性と植物性)について議論し、運動能力との関連で栄養面での懸念があるかどうか、さらに植物性タンパク質やヴィーガン・ベジタリアンに対する態度について回答を求めた。

結果: 雑食の参加者、特に身体活動レベルの高い参加者は動物性タンパク質を好み、より美味で栄養価が高く、身体活動に適しているのは動物性タンパク質であると考えていた。こうした見方を強化しているのはスポーツ競技のコーチであることが多かった。また、このグループの参加者はプラントベース代替食品に対する障壁として(味わいや風味など)感覚的な楽しみに欠けることを訴えていたほか、男らしさに関連するテーマに言及することが多かった。さらに、ベジタリアン・ヴィーガンの参加者ではバランスの取れた食生活のために専門家の助言を求める傾向が強かったのに対し、雑食の参加者は栄養に関する主なモデルとして伝統的な地中海食を挙げていた。この要因はプラントベース食品に対する受容をさらに阻む可能性がある。

結論: 本研究の結果は、身体活動レベルの高い人には強い固定観念があることを示している。また、現在のプラントベース食は「制限された治療食のような代替食」であるかのように語られているが、これを介入によって「筋力や活力、さらに健康全般と両立する食事パターン」として位置付ける必要があることを示唆している。

 

原文タイトル:"If I Didn't Do Sports, I Would Definitely Eat Less Meat"-Physical Activity: Enemy or Ally for Healthier Food Choices?

論文著者:Maria Elide Vanutelli, Roberta Adorni, Viviana Carolina Cambieri, Marco D'Addario, Patrizia Steca

公開日: 2025/10/25 

論文URL:https://doi.org/10.3390/nu17213362

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