さまざまな食事パターンが認知機能に及ぼす影響 前向きコホート研究からの累積的知見

論文概要

 

背景・目的: 高齢化に伴い認知症の発症率は増加しつつあり、高齢者の生活の質を低下させるとともに、社会経済における負担は増大している。本稿では、認知機能アウトカムに好影響を与える食事パターンを包括的に検討するため、成人を対象とした前向きコホート研究の文献的検討を行った。

方法: PubMed®/MEDLINE®データベースを用いて2024年10月30日までに公開された文献を検索した。

結果: 対象となった研究論文は118件であった。「地中海食」および「神経変性遅延のための高血圧予防食(MIND食)」では、遵守度の高いグループを低いグループを比較した場合、認知機能は高く、認知機能障害のリスクは低下していた。

地中海食では認知機能の改善が見られたが、認知機能障害や認知症に対して有益な効果は見られなかった。「高血圧予防食(DASH食)」では認知機能障害のリスクが低下していたが、認知機能や認知症に対する効果は見られなかった。

健康食指数(HEI)では、認知機能・認知機能障害・認知症のいずれにも変化が見られなかった。健康的なプラントベース食(hPDI)では認知機能障害と認知症のリスクが低下していたが、不健康なプラントベース食(uPDI)では認知機能障害のリスクが上昇していた。西洋型の食事パターンでは認知機能は低下していた。

結論:MIND食と健康的なプラントベース食は認知機能に有効であるが、西洋型の食事パターンは有害と考えられる。健康・不健康な食事パターンについてはさらなる前向きコホート研究が必要であり、さまざまな食事パターンと認知機能の関連を確証することが求められる。

 

原文タイトル:Impact of Diverse Dietary Patterns on Cognitive Health: Cumulative Evidence from Prospective Cohort Studies

論文著者:Youngyo Kim, Minkyung Je, Kyeonghoon Kang, Yoona Kim

公開日: 2025/11/03 

論文URL:https://doi.org/10.3390/nu17213469

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