なぜ医療関係者は食生活の移行について語らないのか

論文概要

 

健康の問題、気候変動、生物多様性の喪失、社会の不公正は密接に絡み合っており、これらの危機に対して喫緊の対応が求められている。人間の活動、特に化石燃料の利用と現在の食料システムは、こうした危機を引き起こす最大の要因である。

プラントベース食への移行を特に医療制度の中で実現することは、これらの課題に対処するための重要な契機となる。動物性食品や超加工食品を多く含む食生活は、慢性疾患や環境破壊につながる最も重大な原因であるが、これに対してプラントベースの食生活は、温室効果ガス排出の削減、生物多様性の保全や人類の健康を増進することができる。

プラントベース食では、心血管疾患・2型糖尿病・がんをはじめとする疾病の予防・管理が可能であり、世界の食糧安全保障や資源の利用効率の問題にも対処できることが実証されている。

英国・国民保健サービス National Health Service (NHS) などの医療制度は、プラントベース食の提供、教育の推進、政策変更の提案を通じてこの移行を主導できる。

プラントベースの食習慣への移行は今や倫理的要請であり、その恩恵は個人の健康から環境の持続可能性、資源の公平な配分、グローバルな健康の公平性にまで及ぶものである。

 

原文タイトル:Why is the medical profession reluctant to talk about diet change?

論文著者:Shireen Kassam, Laura-Jane Smith

公開日: 2025/03/31 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.fhj.2025.100231

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