より健康的で持続可能な食習慣への行動変容 モバイルアプリによる介入の有効性

論文概要

 

背景: 健康管理アプリは健康的な食行動を促すうえで効果があることは示されているが、環境に配慮した食習慣を促せるかどうかは不明である。多くの国々では肉類など二酸化炭素排出量の多い食品が食生活の中心となっているが、より健康的な代替食品(果物・野菜・豆類など)へ移行することによって食品関連の温室効果ガス排出量を大幅に削減するとともに、疾病を減らして公衆衛生の向上につながる可能性がある。本稿のシステマティックレビューとメタアナリシスでは、モバイルアプリが持続可能で健康的な食習慣の推進に効果があるかについて、高所得国の成人における有効性を検証した。

方法: 検索に用いるデータベースは MEDLINE・EMBASE・PsycINFO・CINAHL・Global Health・GreenFILE・Web of Science・Cochrane Trials・ClinicalTrials.gov とし、それぞれの創設から2025年1月20日までの期間で関連文献を検索した。アプリを利用した行動介入が果物・野菜・豆類・ナッツ・魚・乳製品・肉類の摂取量に及ぼす影響について、対照群・ベースライン期間・異なる介入条件のいずれかと比較検証した研究を対象とした。対象集団による違いや個別の介入手法による影響を明らかにするため、2件以上の研究で使用された測定項目についてランダム効果メタアナリシスおよびメタ回帰分析を行った。

結果: スクリーニングで得られた7356件の研究のうち、21件の研究を対象とした。研究の透明性に関する評価では、9件の研究が「高」、10件が「中」、2件が「低」に分類された。これらの研究には合計で12,898名の参加者が含まれ、介入期間は3日から6か月、アウトカム指標が測定されたのは介入から12か月後までの期間であった。研究のうち40%では健康に関して何らかの危険因子を有する集団が対象とされており、これらの集団のうち81%は食品摂取量に関する食事ガイドラインの基準値をベースライン時点で満たしていなかった。

メタアナリシスでは、アプリの利用によって果物・野菜の摂取量には増加(0.48食分/日、95% CI 0.18~0.78、p = 0.002)、肉類の摂取量には若干の減少(-0.10食分/日、95% CI -0.16~-0.03、 p = 0.004)が見られ、このうち食肉を減らすことに特化したアプリは一般的なアプリに比べて肉類の消費削減により効果的であった。メタ回帰分析では、メッセージによるコンテンツが肉類の削減を促すうえで特に有効であることも明らかになった。豆類および乳製品の摂取量には明らかな影響は見られず、対象集団による効果の違いも見られなかった。

結論: 持続可能な食生活を促すことを目的とした介入策は多く知られているが、上記の結果はさらにモバイルアプリが有効な手段となり得ることを示唆している。一方、果物・野菜以外の食品の摂取量に関してはエビデンスが不十分であり、これを補強するためには対象集団と介入手法に関して研究内容を報告する形式を標準化する必要がある。

 

原文タイトル:The effectiveness of mobile app-based interventions in facilitating behaviour change towards healthier and more sustainable diets: a systematic review and meta-analysis

論文著者:Esther Curtin, Rosemary Green, Kerry A Brown, Sarah Nájera Espinosa, Abinaya Chandrasekar, Lily Hopkins, Grace Turner, Carmelia Alae-Carew, Karen Ullian, Pauline Scheelbeek

公開日: 2025/09/30 

論文URL:https://doi.org/10.1186/s12966-025-01823-7

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