アフリカ系アメリカ人の教会コミュニティにおけるホールフード・プラントベース・プログラムの有効性

論文概要

 

背景: アフリカ系アメリカ人のコミュニティでは、高血圧や肥満、心臓病・脳卒中・2型糖尿病などの慢性疾患の患者数が他に比べて著しく多く、これらに起因する予防可能な死亡数も多数に上っている。イリノイ州ケーン郡のアフリカ系アメリカ人のコミュニティでは、慢性疾患の発生率が特に高くなっている。先行研究では、ホールフードのプラントベースの食習慣を導入するための知識やスキル、支援策をZoom のグループによる標準化されたプログラムで提供した場合、コミュニティ全体の健康レベルが急速に向上することが実証されている。アフリカ系アメリカ人のコミュニティでは慢性疾患による疾病負荷が特に大きく、本研究ではコホート調査の結果を分析してこのプログラムの有効性を検証した。

方法: イリノイ州のアフリカ系アメリカ人による12の教会ネットワークを通じて参加者を募集し、ロチェスター・ライフスタイル医学研究所によるプログラム「15 日間のホールフード・プラントベース(WFPB)・ジャンプスタート」を実施した。このプログラムは医師らによるサポートのもとで15 日間にわたって実施され、Zoom による7回のセッション(1 回 1~2 時間)で、WFPB 食に関する情報提供とコーチング、料理方法の実演を行った。プログラム開始前と終了後に代謝スクリーニング検査を実施し、参加者の体重やバイタルサイン、血糖値、コレステロール値の変化を評価した。ベースラインからプログラム終了までの食生活の変化、検査データの変化、および患者ごとのアウトカムの変化を検証するため、正規分布を示すデータについては対応のある t 検定を用い、正規分布ではないデータにはウィルコクソン符号順位検定を用いた。

結果: 参加者はアフリカ系アメリカ人の成人21名であった。検査データを提供したのは16名で、このうち10名が高血圧、5名が糖尿病、5名が前糖尿病、5名が高脂血症を有していた。野菜の摂取量はベースライン時の1日2回(中央値)からプログラム期間中に3回に増加し、同様に緑黄色野菜では1回から3回、果物では2回から3回、全粒穀物では1回から2回、豆類では1回から2回に増加した。肉・卵・乳製品の摂取量が減少したのに対し、脂肪や加工食品、高脂肪のプラントベース食品の摂取量は増加した(それぞれp<0.05)。プログラム期間中に報告されたアウトカムにはベースライン時に比べて有意な改善が見られ 活力は10点満点で5点から9点に上昇し(中央値)、睡眠は7点から8.5点、気分は8点から9点に上昇した。体重には平均 5.8ポンド(2.6キロ)の減少が見られ(199.9→194.1、p<0.001)、収縮期血圧は低下し(129.7→119.9、p=0.02)、総コレステロール値にも低下が見られた(185.1→147.9、p<0.001)。データを提供した全ての参加者が、プログラム終了後も WFPB 食を少なくとも部分的に続ける意思を示した。

結論: アフリカ系アメリカ人コミュニティにおける15日間のWFPBジャンプスタートプログラムは食習慣に有意な変化をもたらし、慢性疾患に関する複数の指標で改善が得られた。こうした速やかな改善によって行動変容を促進することが可能である。今回は予備的調査であるため、上記の結果を再現し行動変容が持続するかどうかを検証するためには、同様のプログラムをさらに大規模に実施する必要がある。

 

原文タイトル:A whole-food, plant-based program in an African American faith-based population

論文著者:Faith A Nyong, Ted D Barnett, Beth Garver, Maria Dewhirst, Bruce Pollock, Susan M Friedman

公開日: 2023/07/14 

論文URL:https://doi.org/10.3389/fnut.2023.1196512

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