エピジェネティック老化の遅延と食習慣 オランダ成人におけるヴィーガン食の可能性

論文概要

 

背景: 欧州連合(EU)の高齢化報告書2021年版によれば、今後50年間で主に高齢化と関連疾患のため医療費が大幅に増加すると予想され、一部の加盟国では最大60%の上昇が見込まれている。この負担を軽減するため、老化への対策として健康寿命を延ばすことが提案されている。最近の知見によれば、ヴィーガン食には老化のプロセスを遅らせる可能性があることが示唆されている。

結果: オランダ双子レジストリから肉食者(21,614名)・ペスカタリアン(294名)・ベジタリアン(194名)・ヴィーガン(22名)を抽出し、2014-2016年の調査期間に収集された食習慣のデータを分析した(計22,124名)。

BMI ・ウエスト周囲径・インスリン感受性など健康状態の指標は、食習慣がプラントベースとなるほど改善する傾向が見られた(交絡因子は調整されていない)。生物学的年齢に関しては、2004年から2011年の検体採取でDNAメチル化のデータが得られた3049名の参加者を対象とし、Hannum・Horvath・PhenoAge・GrimAge・Dunedin Pace of Agingによるエピジェネティック・クロックを用いて評価し、採血時の暦年齢と比較した。

双子のペアのうち1人がヴィーガンでもう1人がヴィーガンでないペアは3組で、統計的検証にはサンプル数が不足していたが、得られた結果からはヴィーガン食に潜在的なベネフィットがあることが示唆された。一部の参加者ではDNAメチル化と食習慣、その他の共変量を含む完全なデータが得られた(1198名)。ここでヴィーガン食は、Hannum および Horvath のエピジェネティック・クロックによる老化スコアの低下と有意な関連を示し、この関連は交絡因子(年齢・性別・喫煙・教育水準・身体活動・BMI・アルコール摂取)を調整しても変わらなかった。

モデルに用いた個々の共変量に関する分析では、高学歴であること、身体活動レベルが高いこと、女性であること、喫煙者でないことが生物学的年齢の低下と関連していた。一方、BMI が高いことは生物学的年齢の上昇と関連していた。ただし、これらのパラメータは交絡因子の調整を主な目的したものであるため、結果の解釈には注意が必要である。食性分析では、豚肉を控えると生物学的年齢が低下し(Dunedin Pace of Aging)、鶏肉を控えると生物学的年齢が上昇する(PhenoAge・Dunedin Pace of Aging)などの関連が見られた。

結論: サンプル数が少ないことに加え、栄養調査を実施した時期とエピジェネティック年齢を測定するための採血を実施した時点には大きな時間差があるものの、上記の結果は食事パターン、特にプラントベース食がエピジェネティック老化に影響を与える可能性があることを示唆している。ヴィーガン食にはエピジェネティック年齢を低下させる可能性があるが、さらなる研究によって食習慣と老化の関係を明らかにする必要がある。今後はより大規模なコホート研究と臨床試験を実施し、これら初期段階の知見をさらに確証することが求められる。

 

原文タイトル:Nutritional associations with decelerated epigenetic aging: vegan diet in a Dutch population

論文著者:Georges E Janssens, Jenny van Dongen, Lannie Ligthart, Eco J C de Geus, Gajja S Salomons

公開日: 2025/07/29 

論文URL:https://doi.org/10.1186/s13148-025-01934-9

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