オランダのベジタリアン・フレキシタリアン人口 過去15年間の変化と社会経済的格差

論文概要

 

地球環境と人間の健康のためにプラントベースの食習慣への移行は不可欠であり、同時にこれを社会経済の全ての階層において公平なものとすることもまた重要である。しかし、一つの社会におけるベジタリアンとフレキシタリアンの普及度や社会経済的格差の経時的変化に関する実証的知見は乏しい。

本研究ではこれに関して、オランダの一般成人を対象とした15年間にわたる調査データを検証した。「オランダ・ライフライン研究」で行われた3回の一般調査から、第1回調査(2006-2013年)の参加者143,359名、第2回調査(2013-2017年)の参加者100,859名、第3回調査(2019-2024年)の参加者55,282名を対象とした。自己申告に基づく食生活のパターンに関するデータを毎回の調査で収集し、ベジタリアン・フレキシタリアン・その他・特定のパターンなしの4つのグループに分類した。社会経済的背景については教育水準を指標として用いた。

社会経済的背景と食事パターンとの関連性の推定には多項ロジスティック回帰分析を用いた。ベジタリアン食・フレキシタリアン食を摂っている人の割合は、3回の調査を通じて2倍に増加し、ベジタリアンは2.02%から4.11%へ、フレキシタリアンは3.50%から7.16%へと増加していた。

ベジタリアン・フレキシタリアンの食事パターンを摂るのは教育水準の低い人ほど少ない傾向にあり、こうした関連性は3回の調査を通じて一貫していた。例えば、第1回調査において教育水準の低い人は、高い人と比較してベジタリアン食を摂っている可能性が77%低かった(相対リスク比[95%信頼区間]:0.23[0.20-0.25])。

一般人口を対象としたコホート調査から、オランダにおけるベジタリアン・フレキシタリアン人口は15年間にわたって増加の傾向にあり、同時にこれらの食事パターンには社会経済的な格差が存在し続けていることが明らかになった。

 

原文タイトル:Prevalence and socio-economic disparities in vegetarianism and flexitarianism over 15 years: the Dutch Lifelines Cohort

論文著者:Yinjie Zhu, Marga C Ocké, Emely de Vet

公開日: 2025/08/01 

論文URL:https://doi.org/10.1093/eurpub/ckaf095

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