コーヒー消費者における植物性ミルクの選好を理解する

論文概要

 

コーヒーショップでは牛乳の代わりに植物性ミルクを注文すると追加料金が課されるが、それにもかかわらず植物性ミルクに対する消費者の関心は高まりつつある。乳製品を代替する食品に関しては数多くの研究が存在するが、コーヒー飲料に用いる植物性ミルクに関しては未だ調査されていない。

本研究では、コーヒーに使う植物性のミルク代替品について、行動変容に関する理論領域フレームワークTheoretical Domains Framework (TDF) と行動変容ホイール(Behavior Change Wheel (BCW) に基づいて消費者の選好と行動を検証した。19カ国200名を対象とした調査を実施し、参加者の人口統計学的特性、コーヒーの摂取習慣、植物性ミルクへの追加料金に対する考え方、マーケティングにおける認知度を分析した。

市場インサイトからは、コーヒーが選ばれるのは主に味覚的な理由であることがわかった。品質面では牛乳と地元のカフェが好まれる傾向にあった。植物性ミルクのオプションへの追加料金に反対する意見は、特にZ世代とミレニアル世代を中心として多く見られ、その理由としては乳糖不耐症や牛乳に対するアレルギーが挙げられていた。こうした反対意見には地域差があり、UAE や米国に比べ英国とドイツで強く見られた。

通常のコーヒーの広告と比べた場合、植物性ミルクのマーケティングは記憶に残りにくかった。回帰分析からは、植物性ミルクを日常的な基本食料品と認識することで消費量が増加することがわかった。これはTDF における「結果についての信念」の領域と一致するものであった。

最後に、BCW フレームワークに従ってトレーニングと強制を中核とする介入戦略について考察する。こうしたアプローチの導入によってコーヒーショップでのオプションとして植物性ミルクの普及を推進することが可能となり、社会的包摂と健康意識を醸成するとともに、環境持続可能性への取り組みを支援することができる。

 

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