チェコのヴィーガン・ベジタリアン・雑食の家庭における栄養状態と健康アウトカム

論文概要

 

背景: ヴィーガン食は環境や健康に良いと認識され、社会で広がりつつある。しかし、栄養素が不足する可能性については懸念もあり、これは特に成長期の子どもにとっては重要である。本研究では、ヴィーガン・ベジタリアン・雑食の食生活を送る家庭を対象として、成長特性・心血管機能・骨代謝・尿中ヨウ素濃度・微量栄養素の全般的な状態を比較した。

方法: チェコの95家族(ヴィーガン47家族・ベジタリアン23家族・雑食25家族)が横断研究に参加し、このうち成人は187名、子どもは142名であった。臨床検査と空腹時血液検査に加え、3日間の食事記録を収集し、(身長・体重など)成長指標・心血管機能・骨代謝・尿中ヨウ素濃度・微量栄養素の状態を食事グループと年齢層の間で比較した。グループ間の比較には頑健な混合効果モデルを使用し、交絡因子を調整するとともに家族の中でのクラスタリングの可能性を考慮した。食事パターンが臨床的特徴に及ぼす影響を検証するため、弾性ネットロジスティック回帰分析を用いた。

結果: 子どもの成長指標では、食事グループによる有意な差は認められなかった。心代謝に関する指標(LDL・総コレステロール)は、ヴィーガンの子どもでは成人と同様に良好であった。骨代謝に関する指標は3つのグループで同程度であったが、ビタミンD値はヴィーガンで全般的に最も高く、尿中リン酸値は最も低かった。ヴィーガンの子どもでは尿中ヨウ素濃度が低かったが、甲状腺刺激ホルモン値におけるグループ間差とは関連していなかった。混合効果モデルでは、小児では家族内でのクラスタリングが身長・尿酸・HDL・副甲状腺ホルモン・ビタミンB12・ビタミンDで認められ、成人ではセレン・亜鉛・ヨウ素・ビタミンB12・葉酸で認められた。

結論: 本研究の結果は、家庭の食習慣が栄養のバイオマーカーと有意に相関し、個人レベルのばらつきにも影響することを示している。ヴィーガンでは心代謝プロファイルが良好であるが、ヨウ素の摂取量が低くなっている可能性がある。

 

原文タイトル:Dietary intake, nutritional status, and health outcomes among vegan, vegetarian, and omnivorous Czech families

論文著者:Marina Heniková, Anna Ouřadová, Eliška Selinger, Filip Tichánek, Petra Polakovičová, Dana Hrnčířová, Pavel Dlouhý, Martin Světnička, Eva El-Lababidi, Jana Potočková, Tilman Kühn, Monika Cahová & Jan Gojda

公開日: 2025/11/22 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s43856-025-01257-z

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