ヒトと動物のキメラは道徳的混乱を引き起こすのか? 人々の意識を探る

論文概要

 

最近の医学研究では、ヒトとサルのキメラの作製、ラットへのヒト脳オルガノイドの移植、遺伝子編集されたブタの心臓・腎臓の生体移植などが行われている。一方、生物医学研究のためにヒトと動物のキメラを造る必要があるのか、またその場合にそれらをどう扱うべきかについて、論争は激しくなっている。いくつかの有力な主張があるが、こうしたキメラに対して人々がどのように反応するかについては(実証データではなく)仮定に基づいて議論されることが多い。

例えば、キメラ作製に反対する最も重要な主張によれば、ヒトと動物のキメラは種の境界に関する道徳的観念を必ず混乱させ、結果として社会秩序を脅かすことになるとされてきた。しかし、果たしてそうだろうか? 本稿では3つの実証研究を実施し、さまざまな人獣キメラの作製および扱いに関して一般の人々がどのように捉えているかを検証した

その結果、典型的な異種移植(動物の臓器を人間の患者に移植すること)に関して一般の人は道徳的に問題のないものと考えており、人々は動物の臓器を持つ人間に対し、キメラではない人間と同等の道徳的地位を与えていることがわかった。これとは対照的に、人々はヒトの臓器を持つ動物に、キメラではない動物よりもわずかに高い道徳的地位を付与することもある(常にではない)。しかし全体的には、キメラ技術がヒトと動物の境界線を曖昧にし、それが道徳的混乱を引き起こすことを示唆する結果はほとんど得られなかった。

 

原文タイトル:Will Human-Animal Chimeras Cause Moral Confusion? Exploring Public Attitudes

論文著者:Katrien Devolder, Joshua Rottman, Qinyu Xiao, Guy Kahane, Lucius Caviola, Lauren Yip, Nadira S Faber

公開日: 2025/08/12 

論文URL:https://doi.org/10.1007/s11673-024-10413-4

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