プラネタリーヘルス食の遵守状況と炎症性腸疾患の予後 英国と中国におけるコホート調査

論文概要

 

プラネタリーヘルス食は、炎症性腸疾患(IBD)の管理に活用できる持続可能な手段となる可能性がある。本研究では、英国バイオバンクに登録されたIBDの患者1,455名、さらに中国のONE-IBDコホートに登録された患者205名を対象としてこの可能性を検証した。食生活に関するデータは標準的な調査票を用いて収集し、PHDの遵守度は7種類のアルゴリズムを用いて評価した。環境への影響は、ライフサイクルアセスメントの手法を用いて食品生産に伴うカーボンフットプリントから推定した。

予後に関する指標として、英国バイオバンクの患者についてはIBDに関連する外科手術の件数、大腸がんの発生数、全死因死亡数、ONE-IBDの患者ではIBDに関連した再入院および再発の件数を用いて評価した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には Cox モデルを用いた。

追跡期間は10.5年(中央値)で、この期間に行われた手術は191件、大腸がんの発症は78件、死亡数は232件であった。PHDの遵守度と手術リスクには逆相関が見られ、遵守度が高くなるほど、手術の件数は減少していた(HR/SD 0.67~0.80)。食品生産に関連するカーボンフットプリントは、評価に用いた全てのアルゴリズムにおいて減少していた(r -0.061~-0.468)。健康面でのこうした予防効果は、健康面でのこうした予防効果は、Knuppelのアルゴリズムに修正を施した場合も認められ(SDあたりHR = 0.73、95% CI 0.60-0.89)、環境への影響に関しても同様の相関が見られた(r = -0.244)。また、ONE-IBDコホートでは、再入院のリスクに低下が見られた(HR/SD = 0.80、95% CI 0.65-1.00)。プロテオーム解析では潜在的な効果が示唆され、腸管バリア機能の改善および線維化の軽減が関与していた。

結論として、PHDの遵守度が高くなるほど、炎症性腸疾患の転帰は改善し、環境負荷も低くなる傾向がある。これらの結果は、プラネタリーヘルス食が疾病管理に有効であり、持続可能な食事パターンとして期待できることを裏付けるものである。

 

原文タイトル:Aligning patient and planetary health: planetary health diet adherence and inflammatory bowel disease prognosis across Western and Eastern cohorts

論文著者:Lintao Dan, Haiting Shu, Yuhao Sun, Judith Wellens, Yang Chen, Minzi Deng, Jialu Yao, Xixian Ruan, Henit Yanai, Xue Li, Britta Siegmund, Xiaoyan Wang, Fernando Magro, Jie Chen

公開日: 2026/06/29 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s41538-026-00959-5

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