プラネタリー・ヘルス食と健康的な加齢

論文概要

 

背景と目的: プラネタリー・ヘルス食*1 は、環境と健康に関する目標を一体化するために設計された食事パターンである。本研究はプラネタリー・ヘルス食の遵守度(PHDI)と健康的な加齢の関連性について初めて検証したもので、加齢の指標としては内在的能力 intrinsic capacity *2 および身体的フレイル*3 を用いた。

方法: UKバイオバンクに登録された参加者19,505名のデータを分析した。2~5回にわたって実施された24時間食事記録から食事内容を評価し、15種類の食品群からPHDIを産出した。内在的能力については「高齢者向け統合ケア Integrated Care for Older People」のガイドラインに基づいて評価し、その合計スコアは0~10点の範囲となった(高いスコアは内在的能力の高さを示す)。また、フレイルに関しては、Rockwood によるフレイル指数および Fried によるフレイル表現型を用いて評価した。PHDI と内在的能力の関係に関しては線形回帰分析を使用し、フレイルとの関連についてはロジスティック回帰分析を用いた。

結果: 追跡期間の中央値は6.25年(中央値)で、この間にはPHDIが高くなるほど内在的能力が高くなる傾向が見られた。すなわち、PHDI が最も高い3分位群と最も低い3分位群を比較した場合、内在的能力の平均スコア(95%信頼区間)には0.46(0.05, 0.86)の差が見られた。PHDI が高くなるほど、フレイルのリスクは低下しており、PHDI の最も高い3分位群と最も低い3分位群を比較したオッズ比は、フレイル指数で0.80(0.71, 0.90)、フレイル表現型で0.62(0.43, 0.88)であった。魚介類の摂取が内在的能力の向上およびフレイルのリスク低減とそれぞれ独立に関連していたのに対し、全粒穀物・果物・野菜・ナッツ類と種子の摂取はフレイルのリスク低減と関連していた。また、添加糖・果汁の摂取制限もフレイルのリスク低減と関連していた。

結論: 英国成人を対象とした調査では、プラネタリー・ヘルス食の遵守度が高くなるほど、内在的能力の向上およびフレイルのリスク低減との関連が認められた。

*1 EAT-Lancet食とも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法 *2 世界保健機関(WHO)によって提唱された概念で、個人が有する身体的および精神的な能力の総体を指す  *3 加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)や運動器の障害による歩行速度・筋力の低下、疲労感、活動量の低下などを特徴とする

 

原文タイトル:Adherence to the planetary health diet and healthy aging: A prospective analysis

論文著者:Javier Maroto-Rodriguez, Rosario Ortolá, Esther García-Esquinas, Fernando Rodríguez-Artalejo, Mercedes Sotos-Prieto

公開日: 2025/12/29 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.clnu.2025.106562

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