プラントベース食と健康アウトカムの関連性 スコーピングレビュー

論文概要

 

背景: 従来の研究でプラントベース食と健康アウトカムの関連性を評価する際には、栄養価による違いが考慮されることがなかった。2016年に初めて発表されたプラントベース食指数(PDI)ではこうした限界が克服されており、摂取される植物性食品の質と動物性食品の摂取頻度に基いて健康的な PDI (hPDI)と不健康な PDI (uPDI)の2つが用いられている。本研究では、hPDI と uPDIを用いた研究の広がりを総括し、プラントベース食の質と健康アウトカムの関連性を明らかにする。

方法: このスコーピングレビューでは、PDI・hPDI・uPDI を用いて健康アウトカムとの関連性を報告した研究を対象とした。2010年から2023年4月までの期間で複数のデータベースから研究論文を検索し、その適格性を著者2名が独立に評価してデータを抽出した。指標と健康アウトカムの関連性の評価に加え、hPDI と PDI、および hPDI と uPDI の間で一致・不一致が見られる頻度を判定した。

結果: 対象となった95件の論文(縦断研究54%・横断研究37%・症例対照研究9%)における参加者数の中央値は3,646人であった。hPDI 値が高いグループと低いグループと比較すると、高いグループはその36%において良好な健康アウトカムと関連しており、これらは主に肥満・死亡率・糖尿病・心血管疾患・精神疾患に関するものであった。健康アウトカムとのこうした関連が見られたのはPDIでは25%、uPDIではわずか2%であった。

逆に uPDI レベルが高い場合、比較の33%において望ましくない健康アウトカムと関連していた。こうした望ましくない健康アウトカムとの関連は hPDI では1%未満、PDIでは2%で見られた。hPDI と健康アウトカムとの関連性が、uPDI・PDI における関連性と一致しない場合、hPDI は常に uPDI より望ましいアウトカムに強く関連しており、またPDIと比較してもほぼ同様に望ましいアウトカムと関連していた。

考察: 食生活における植物性食品の質を考慮したhPDIは、総合的なプラントベース食指数で見逃されるような健康上の効果を捉えることが可能である。植物性食品の質に重点を置くことで、栄養ガイドラインを改善し、非加工の植物性食品を摂取して得られる利点についての認識を向上させるだけでなく、こうした食品の摂取を徐々に増やし、不健康な食品を置き換えていく方向へ消費者を支援することも可能である。今後の研究では、食品の質を考慮に入れた指標がより多く用いられていくものと思われる。

 

  

  

別のFACTを探す