プラントベース食と消化器系がんのリスクの関連性 305万人超のデータに関するメタアナリシス

The Relationship Between Plant-Based Diet and Risk of Digestive System Cancers: A Meta-Analysis Based on 3,059,009 Subjects

https://doi.org/10.3389/fpubh.2022.892153

2022/06/03

Yujie Zhao, Junyi Zhan, Yongsen Wang, Dongli Wang

論文概要

 

背景と目的: 赤肉や加工肉を含む食事には、消化器系のがんに罹患するリスクと関連があるとされる。がん予防におけるプラントベース食の有効性については、統計的に高いレベルのエビデンスが必要である。

方法: 5つの英語データベース(PubMed・Medline・Embase・Web of Science・Scopus)を用いたメタアナリシスにおいて2021年10月24日までに発表された論文を特定した。プラントベース食と消化器系がんとの関連性について報告したコホート研究またはケースコントロール研究を分析の対象とした。効果量の推定値は95%信頼区間(CI)を付したリスク比(RR)またはオッズ比(OR)で表示し、ランダム効果モデルを用いて検証した。ランダム効果Mantel-Haenszelモデルにおける異質性については不一致指数(I2)とτ2(Tau2)指数を用いて定量化した。

結果: コホート研究における調整後のリスク比(RR)は 0.82(95% CI:0.78-0.86、P < 0.001、I² = 46.4%、Tau² = 0.017)、ケースコントロール研究では調整後のオッズ比(OR)は 0.70(95% CI:0.64-0.77、 P < 0.001、I2 = 83.8%、Tau2 = 0.160)であり、同様の結果が得られた。全体的な分析からは、プラントベース食には消化器系腫瘍のリスクに対して保護作用があると結論された。

個別のがんに関する下位分析では、プラントベース食によってがんのリスクが低下することが示された。特にコホート研究において有意な保護作用が認められたのは、膵がん(調整後RR = 0.71、95% CI: 0.59-0.86、P < 0.001、I2 = 55.1%、Tau2 = 0.028)、大腸がん(RR = 0.76、95% CI: 0.69-0.83、P < 0.001、I2 = 53.4%、Tau2 = 0.023)、直腸がん(RR = 0.84、95% CI: 0.78-0.91、 P < 0.001、I² = 1.6%、Tau² = 0.005)、結腸がん(RR = 0.88、95% CI: 0.82-0.95、P < 0.001、I² = 0.0%、Tau² = 0.000)であった。Z検定による比較では、これらの効果に関してヴィーガン食とそれ以外のプラントベース食の間に有意差はなかった。

結論: プラントベース食には消化器系がんに対する保護作用があり、こうした効果は異なる種類のがんに対しても違いは見られなかった。 

 

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