論文概要
重要性: 妊娠中および乳児期の家庭においてプラントベース食、特にヴィーガン食が安全であるかどうかについては議論が続いている。特に乳児の成長パターンについての大規模人口データは不足している。
目的: 乳児の成長軌道・体重・身長と家庭の食事パターン(ヴィーガン・ベジタリアン・雑食)の関連性を検証する。
デザイン・設定・参加者: イスラエルでは家族ケアセンターが乳児の健康・発達に関する調査を担当しており、本研究の後向きコホート調査ではその全国ネットワークを通じて2014年1月1日から2023年12月31日までに収集されたデータを使用した。先天性奇形がなく、出生時体重が1500g以上の単胎児で、妊娠週数32週以上の乳児を対象とし、24ヶ月間にわたって追跡調査を実施した。得られたデータの分析は2024年11月17日から2025年12月6日に行った。
曝露因子: 分娩後から6ヶ月以上経過した時点における家庭での食事パターン。
主要アウトカム・測定項目: 乳児の身長を主要アウトカムとした。副次的アウトカムとしては、体重・頭囲・発育阻害(月齢身長比 Zスコア -2未満)・低体重(体重身長比 Zスコア -2未満)・過体重(体重身長比 Zスコア + 2超)を用いた。成長軌道の分析には線形混合効果モデルを使用し、栄養状態の評価にはロジスティック回帰分析を使用し、出生時・乳児期早期(生後60日以内)・出生後24ヶ月における状態を検証した。
結果: 1,198,818 名の乳児のうち(平均在胎期間(標準偏差)39.2 (1.5) 週・男児53.2%)、家庭が雑食であったのは98.5%で、ヴィーガンの家庭は0.3%、ベジタリアンは1.2%であった。乳児期早期の身長と月齢身長比について比較すると、家庭の食事パターンによる違いはわずかであった(世界保健機関(WHO )のZスコア ≤ 0.3)。また、発育阻害の有病率はグループ間で同程度であったが(ヴィーガン・ベジタリアンの家庭で7.0%、雑食の家庭で7.1%)、低体重は雑食に比べてヴィーガンでより多く見られた (調整オッズ比 1.37 [95% CI, 1.15-1.63])。
発育阻害の有病率は24か月齢までに低下し、雑食では3.1%、ベジタリアンでは3.4%、ヴィーガンでは3.9%となり、グループ間には有意な差は見られなかった。低体重・過体重に関しても有病率は低く、24か月齢では食事パターンによる差はなかった。体重・身長・頭囲の平均値に関しては、食事パターンによる差異は臨床的に軽微であり(WHO – Zスコア< 0.2)、グループ間のこうした違いは縦断モデルに調整を施した場合にはさらに縮小した。
結論・意義: 本研究のコホート調査では、ヴィーガン家庭の乳児における成長パターンは雑食の家庭と変わりがなかった。また、低体重のリスクは雑食に比べて早期には高いものの24か月齢までに減少した。先進諸国では肥満や過体重が大きな問題となっていることから、これらの研究結果は朗報であるといえる。今後の研究ではヴィーガン食の質について検討するとともに、妊娠期・乳児期の栄養指導が乳児の発達を最適化するうえでどのような効果があるかを検証する必要がある。
原文タイトル:Growth Trajectories in Infants From Families With Plant-Based or Omnivorous Dietary Patterns
論文著者:Kerem Avital, Naomi Fliss-Isakov, Danit R Shahar, Moran Blaychfeld-Magnazi, Sivan Ben-Avraham, Sigal Tepper, Uri Hamiel
公開日: 2026/02/02

