ベジタリアン食のメニュー拡充が食事の選択と満足度に及ぼす影響 フランスの大学カフェテリアにおける介入研究

論文概要

 

背景: 食環境の転換は、公衆衛生において持続可能な食の選択を促す重要な政策である。カフェテリアで提供されるベジタリアン食は食の選択に大きく影響するが、これをターゲットとした介入策がどの程度まで受容されるかについては検証されてこなかった。本研究では、フランスの大学カフェテリアにおいてベジタリアン食の選択肢を増やした場合に、学生が選ぶ主食の種類や満足度・好感度にどのような影響があるかを検証した。

方法: フランス・ディジョン市の大学カフェテリアで4週間の比較対照試験を実施した。2週間の対照期間にカフェテリアで提供されるベジタリアン食の割合は24%であった。これに続く2週間の介入期間では、ベジタリアン食の割合を48%に増加させたが、それ以外のメニューは変更しなかった。この変更に関する情報は学生に通知しなかった。学生が選択した食品を製造データから追跡し、食事に対する満足度と好感度を5段階評価のアンケート用紙を用いて連日調査した。昼食で選択された食事について、その栄養価、環境への影響、生産コストを算出した。対照期間と介入期間における4回の昼食で廃棄された食品の重量を測定した。調査終了の時点でオンラインアンケートを実施し、学生からのフィードバックを収集した。

結果: ベジタリアンのメニューを2倍に増やした結果、ベジタリアン食が選択される可能性は有意に増加した(オッズ比 = 2.57、95%信頼区間 = [2.41; 2.74])。アンケート調査への回答(18,342件)では、介入期間における満足度と好感度は対照期間に比べてわずかに増加しており、その増加幅は満足度で4.05 ± 0.92から4.07 ± 0.93へ(p = 0.028)、好感度では4.09 ± 0.90から4.13 ± 0.92へ(p < 0.001)となっていた。研究終了時のアンケート(510件)では、ベジタリアンメイン料理の提供状況の変化に気づいた学生はわずか6%であった。介入により、主食の選択に伴う環境負荷は減少した。栄養価はわずかに低下し、食事コストはわずかに上昇、食品の廃棄量に変化は見られなかった。

結論: 大学カフェテリアにおける選択肢を2倍に増やした結果、ベジタリアン食が選ばれる割合は倍増し、介入期間における学生の満足度と好感度が向上した。これらの結果から、フランスの大学カフェテリアでは、環境問題への取り組みとしてベジタリアン食と非ベジタリアン食を同じ割合で提供することを検討して良いと考えられる。

 

原文タイトル:Effects of increasing the availability of vegetarian options on main meal choices, meal offer satisfaction and liking: a pre-post analysis in a French university cafeteria

論文著者:Laura Arrazat, Claire Cambriels, Christine Le Noan , Sophie Nicklaus, Lucile Marty

公開日: 2024/07/16 

論文URL:https://doi.org/10.1186/s12966-024-01624-4

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