論文概要
健康、環境、アニマルライツは、西洋社会において人々がベジタリアン食を選択する主な3つの理由である。しかし、これらの動機が実証的に区別できるものなのかは明らかとはいえず、またこれら3つの動機によってどのような人々が実際に動かされる見込みがあるかについてもわかっていない。
本研究には3つの目的がある。第一に、ベジタリアン食を選ぶ動機として健康・環境・アニマルライツが区別できるかどうかを調べるするため、心理的な構成概念の検証を行った。第二に、(年齢・性別・人種など)人々の人口統計学上の特性や行動・性格のプロフィールが、ベジタリアン食の動機と関連しているか、さまざまな参加者を含む3つの標本調査で検証した。第三に、人々の動機が、ベジタリアン食を推奨する資料(チラシ)への反応と関連しているかどうかを調べた。
本研究では、15項目の尺度からなるベジタリアン食の動機調査票 Vegetarian Eating Motives Inventoryを作成し、上記の3つの標本(参加者数=1006人・1004人・5478人)と2つの言語(英語・オランダ語)において共通の構成で調査を実施した。
この尺度によれば、ベジタリアンではない人々がベジタリアン食を検討する動機として最も一般的なのは健康であり、ここには幅広く多様な価値観が相関していたが、特に共同体への志向性や個人の主体的価値観が強く関わっていた。環境とアニマルライツの動機に相関する価値観は限られていたが、第4のサンプル(739人)においてこれら2つの動機は、ベジタリアン食のチラシに対する参加者の反応を個別に予測できる強い因子となっていた。
これらの結果は、ベジタリアンと非ベジタリアンの回答者がベジタリアン食を考える動機を調べるうえで研究者にとって有用なツールとなり、その動機の背景にある心理的メカニズムについて有用な知見を提示する。さらに活動家に対しては、ベジタリアンの食生活を推進するキャンペーンにおける最適な目標設定のための指針を提供するものである。
Christopher J Hopwood, Wiebke Bleidorn, Ted Schwaba, Sophia Chen
2020/04/02
Health, environmental, and animal rights motives for vegetarian eating