モラルとメニューの出会い:ベジタリアニズムにモラル訴求が及ぼす影響を調べる

Morality meets menu: investigating the impact of moral appeals on vegetarianism through a conjoint survey experiment

Nela Mrchkovska, Nives Dolšak, Aseem Prakash

2024/02/23

https://link.springer.com/article/10.1007/s10584-024-03695-5

論文概要

 

モラルを訴えることは、二酸化炭素の排出量がより少ない食事を選ぶ動機付けになるのだろうか? 米国の回答者1520人を対象とした強制選択による行動実験で、参加者に2つのメニューについて、次の6つの次元で比較を求めた:(1)ハンバーガー・サンドイッチのパティの種類とそれに対応するCO2排出量、(2)カロリー値、(3)タンパク質の含有量、(4)価格、(5)食材の産地、(6)食材を生産する農法。各メニューにおいて、これらの次元に関する値を無作為に変化させた。また、気候変動対策の推進に関して回答者を以下の3つの心理的枠組み(フレーム)に無作為に割り当てた:気候変動対策の科学的根拠を強調する基準フレーム、モラルと世俗的・非宗教的な価値観を強調するフレーム、モラルと宗教的な価値観を強調するフレーム。

その結果、モラルへの訴えでは、CO2排出量の低い食品を選ぶことに影響しないことがわかった。全体として回答者はCO2排出量の高い、非ベジタリアンの選択肢を好む傾向があった。食品の味を重視する人々では、ベジタリアンメニューを選ぶ傾向は弱かった。しかし、ベジタリアンメニューを好むサブグループもあり、そのうちには女性、気候変動問題に関心が高くベジタリアン食を食べたことがある人、健康への影響を考えている人などが含まれる。

結論としては、モラルへのアピールによって、気候変動に配慮した食品システムへと個人の選択が大きく変わる可能性は低いと考えられる。食生活の嗜好を形作るのは主に、気候変動について個人がもともと持っている態度や人口統計学的な属性である。

 

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