論文概要
ビーガニズムをめぐるソーシャルメディアの状況は、オフラインの食行動にどのような影響を与えるのか?
ソーシャルメディアは、特に若い世代にとって、態度、規範、行動を形成する上で影響力のあるツールである。 インスタグラムのような主要なプラットフォームには10億人以上のユーザーがおり、食にまつわるコンテンツは大きなトレンドとなっている。 インスタグラムだけでも、「#vegan」のタグが付けられた投稿は1億2500万件を超える。
ソーシャルメディアの利用と食習慣を結びつけるだけでなく、このつながりの背後にある理由を理解することも重要だ。 計画行動理論は、行動は意図に従うことを示唆している。 これらの意図は以下3つの主要な要因によって形成される:①態度、②社会規範、そして③行動を変える難しさ。
この論文では、ソーシャルメディアが食習慣にどのような影響を与えるかを探ることを目的とした。
研究1と2
研究1と2は、#veganとタグ付けされたInstagramの投稿内容の分析に焦点を当てた。 著者たちは44,316件の投稿からハッシュタグ、画像、テキストを分析し、ヴィーガンに関するコミュニケーションに共通するテーマや傾向を明らかにした。
その結果、ヴィーガニズムに関する投稿は、食べ物、写真、健康とフィットネス、化粧品などのトピックを取り上げることが多いことが明らかになった。 研究2では、最も頻繁に投稿される画像は食べ物(35%)と化粧品などの非食品製品(30%)で、人物(8%)と動物(2%)がそれに続いた。 興味深いことに、動物福祉と環境は主要なテーマではなかった。

Food: 食品
Non-food products(e.g. cosmetics): 食品以外(化粧品等)
People: ヒト
Animals: 非ヒト動物
Notably absent? Animal welfare and environmental themes.: 動物福祉と環境というテーマが見られないことは着目すべきかもしれない。
研究3と4
研究3と4は、ヴィーガニズムに関するInstagramのコンテンツに触れることが、食事に関する人々の意向・意図に与える影響を調査した。 研究者らは371人を対象に調査を行い、参加者の関与の頻度や方法、つまり受動的にコンテンツに触れているのか、それとも積極的にコンテンツを投稿したり共有したりして交流しているのかを測定した。 研究者らはこのデータをもとに、態度、社会規範、行動制御感(perceived behavior control)に焦点を当て、この関連性の背後にある潜在的な理由を明らかにした。
その結果、ヴィーガニズム関連コンテンツへの受動的な接触は、能動的な関与よりも摂食意図に強い影響を与えることがわかった。 これは、[コンテンツとの受動的な]接触がソーシャルメディア上での最もありふれた関わり方であるという事実によって説明されるかもしれない。 それでもこの結果は、受動的なコンテンツの消費は、食べる決定を形成するのに十分でありえ、積極的な参加は必要ないことを示唆している。
行動変容の主な推進力として、態度と自己アイデンティティが浮上した。 ヴィーガンにとって、食事はベジタリアンよりもアイデンティティの中心であることが研究で示されている。 自分の行動を変えることができるという認識は、二次的なメカニズムであった。 興味深いことに、社会規範は食意向とは関係がなかった。
本論文からの最大の教訓は、インスタグラムはユーザーの食にかかわる意思決定を形成することができるプラットフォームであるということである。 ユーザーに最も響くコンテンツの種類と、受動的な接触が特に影響力をもつことを知っていれば、動物擁護団体は、より効果的にヴィーガニズムを促進し、動物福祉を向上させられるよう、コンテンツを調整することができる。
※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。
原文タイトル:From pixels to palate: Communication around #vegan on Instagram and its relation with eating intentions
論文著者:Kadel, P., Heist, N., Paulheim, H., & Mata, J.
公開日: 2024/01/01

