ヴィーガン・キャットフードと肉ベースのキャットフード 猫1,369頭における健康アウトカムの比較

論文概要

 

環境の持続可能性や畜産動物の福祉、従来のタンパク源を求める競争などへの懸念は高まりつつあり、代替ペットフードの開発を大きく推進する要因となっている。こうした代替ペットフードには、生肉を用いた製品や培養肉を用いた製品のほか、これまでになり新しいタンパク源(陸上植物・昆虫・酵母・菌類・海藻など)を用いたものがある。

この研究では、猫の飼い主1,418名から1年以上飼育している猫1頭について情報提供を求め、肉類ベースのフードを与えられている猫とヴィーガンのフードを与えられている猫で健康アウトカムが異なるかどうかを比較した。回答者の1,380名は自ら猫の食事内容を決めており、その際に最も重要な要因は健康と栄養であると考えていた。このうち1年以上同居する猫について回答したのは1,369名で、猫に肉類ベースのフードを与えていたのは1,242名(91%)、ヴィーガンのフードは127名(9%)であった。

疾病に関する7つの一般的な指標を検証した。年齢・性別・去勢の有無・主な居住地による影響を回帰モデルによって調整した結果、一般的な猫のヴィーガン食は疾病リスクの低減と関連が見られ、獣医を受診する頻度では 7.3%の減少、薬剤の使用頻度では14.9%の減少、治療食への変更が必要となる件数では54.7%の減少、獣医師から体調不良と診断される件数では3.6%の減少、重篤な疾患と診断される件数では7.6%の減少、重篤な疾患と飼い主が考える件数では22.8%の減少がそれぞれ見られた。

さらに、罹患する疾病の件数は体調不良の猫1頭あたりで15.5%減少していたが、統計的に有意な減少は見られなかった。また、獣医師の判定に基づいて22種類の疾患に関して有病率を調べたところ、肉食の猫では42%、ヴィーガン食の猫では37%が少なくとも1種類の疾患を有していた。これら22種類の疾患のうち、15疾患は肉食の猫で頻度が高く、7疾患はヴィーガン食の猫で頻度が高かった。統計的に有意な差は1疾患においてのみ見られた。

これらの結果を総合すると、ヴィーガン食の猫は肉食の猫に比べると傾向としてはより健康的であり、この傾向は明確かつ一貫して見られた。本研究で得られた結果は先行研究の知見と概ね一致するものであった。

 

原文タイトル:Vegan versus meat-based cat food: Guardian-reported health outcomes in 1,369 cats, after controlling for feline demographic factors

論文著者:Andrew Knight, Alexander Bauer, Hazel Brown

公開日: 2023/09/13 

論文URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0284132

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