ヴィーガン・ドッグフードと肉ベースのドッグフード 犬2,536頭における健康アウトカムの比較

論文概要

 

本研究では犬の飼い主2,536名を対象とした調査を実施し、肉類を使ったドッグフードとヴィーガンのドッグフードを与えた場合で犬の健康状態に違いがあるかどうかを調べた。参加者の飼い主は、肉類を使った従来のドッグフード(1,370頭=54%)、生肉を使ったドッグフード(830頭=33%)、ヴィーガンのドッグフード(336頭=13%)のいずれかを一年以上は犬に与えており、調査では犬の健康状態に関するデータを提供するとともに、飼い主の意見に関する質問に回答した。

疾病に関する一般的な指標として以下の7項目を検討した:獣医を受診した回数が増えたか、薬剤を犬に与えているか、ヴィーガンまたは肉類のドッグフードを続けた後に治療食に移行したことがあるか、獣医から体調不良と診断されたことがあるか、疾病の悪化に関する獣医の診断および飼い主の意見、体調不良の犬では1頭あたり何種類の疾病に罹っているか。

さらに、獣医師の評価をもとに、22種類の疾病についてその有病率を調べた。それぞれの食事パターンで健康上の問題があった犬の割合は、肉類を使った従来のドッグフードで49%、生肉のドッグフードで43%、ヴィーガンのドッグフードで36%であった。肉類のドッグフードでは11種類の疾患において発症する確率が最も高く、生肉のドッグフードでは8疾患、ヴィーガンのドッグフードでは3疾患においてそれぞれ最も高かった。

回帰分析では、年齢・性別・去勢の有無・犬種サイズ・極めて高い運動量など、医学的に重要な犬の特性に関する差異を補正した。その結果、健康に関する指標はヴィーガン食を与えられた犬において最も良好であった。この傾向は明確かつ一貫しており、ヴィーガン食の犬では疾病に関する7つの一般的指標のリスクが大きく減少していた。こうしたリスク低減の効果は統計的に有意であり、その減少幅は肉類のドッグフードとの比較で14.4%から51.3%の範囲に及んでいた。さらに6種類の疾患に関しては、ヴィーガン食は従来の肉類ドッグフードと比較して50%~61%のリスク低減と関連があり、これも統計的に有意であった。

従来の研究結果を統合した分析では、ヴィーガンのドッグフードは多くの疾患において発症リスクの低下と一貫して関連していた。ヴィーガン食を与えられた犬において一貫して頻度の高い健康障害は確認されなかった。

 

原文タイトル:Vegan versus meat-based dog food: Guardian-reported health outcomes in 2,536 dogs, after controlling for canine demographic factors

論文著者:Andrew Knight, Alexander Bauer, Hazel J Brown

公開日: 2024/08/05 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e35578

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