ヴィーガン・ベジタリアンの精神衛生研究 倫理・共感・疫学に関する批判的考察

論文概要

 

疫学研究ではヴィーガンと雑食の人の比較が広く行われているが、本稿ではこれを批判的に検討する。こうした研究では、アウトカム指標におけるヴィーガンと雑食の違いが栄養面での不足や効果として説明されることが多いが、例えば共感性の高まり、社会的なスティグマ、食事パターンの分類が一貫していないことなど、極めて重要な心理社会的要因や倫理的要因が見落とされている。

こうした交絡因子は因果関係に関する推論を妨げるものであり、このため観察研究で得られる結果は概念的な意味で欠陥を孕んだものとなる。栄養学的な比較検証のために、ヴィーガンの集団の中で食生活の質を分析したほうがより妥当な知見が得られるはずである。

今後の研究では、ヴィーガニズムに特有の倫理的・社会的ストレス要因をより適切に捉えるために対象を絞った心理スクリーニングを導入すべきであり、これによって研究および政策上の目的で精神衛生を評価する際の精度と妥当性が向上すると考えられる。

 

原文タイトル:Mental health research in vegans and vegetarians: a critical commentary on ethics, empathy, and epidemiology

論文著者:Jessica L Campbell

公開日: 2025/10/11 

論文URL:https://doi.org/10.1016/j.appet.2025.108348

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