ヴィーガン食の特徴と良好な代謝指標の関連性 チェコとイタリアにおけるマルチオミクス研究

論文概要

 

ヴィーガン食と雑食では栄養組成が大きく異なるが、腸内マイクロバイオームやメタボローム、リポロームにどのような影響を与えているかについて、異なる人口集団を対象として検証した研究は未だ乏しい。食習慣と国に固有の要因はいずれもこうした分子レベルの階層に影響を与えるが、これら2つの要因が相対的にどの程度影響しているかに関して、マルチオミクス解析を用いた体系的な検証は未だ行われていない。

本研究では、チェコとイタリアのヴィーガン(100人)および雑食(73人)の健常者を対象として二施設共同による横断的観察研究を実施し、マイクロバイオーム・メタボローム・リポロームのプロファイリングを総合的に分析した。さらに、得られた結果の妥当性を評価するため、別の健常者142人からなるコホートを対象として追加検証を実施した。

国と食習慣のいずれに関しても、すべてのオミクス階層で(ヴィーガンと雑食の間に)有意差が認められた。予測モデルでは、これらのオミクス指標が食習慣の違いによって分離できることが確認され、追加検証を行ったコホートにおけるROC曲線下面積(AUC)は、リピドームで0.99、メタボロームで0.89、マイクロバイオームで0.87であった。

機能的メタゲノム解析では、ヴィーガン食ではアミノ酸生合成、イノシトール分解、ペントースリン酸経路が活性化していることがわかった。一方、雑食ではアミノ酸発酵、脂肪酸生合成、プロパノエート代謝が活性化されていた。線形モデルで特定されたヴィーガン食の特徴は国の違いに関わらず頑健性が高く、この「ヴィーガン・シグネチャー」に含まれていたリピド代謝物は27種、非リピド代謝物は5種、細菌種は11種であった。

脂質に関してはいくつかの特徴が雑食と関連していたが、ヴィーガンでは逆の傾向が見られ、ヴィーガン食の遵守期間が長くなるほど、これらの特徴との関連は弱くなっていた。因果関係は確立されていないが、ヴィーガン食に関わる代謝産物や細菌の一部は、良好な心代謝プロファイルと相関があるとされている。

これらの知見は、ヴィーガン食に関連する分子レベルおよび微生物学的な特徴には再現性があり、国の違いに関わらず共通性があることを示している。本研究の結果は、宿主と微生物叢の相互作用が食習慣とともに変化することを示しており、食事パターンとこうした相互作用の関連性を解明するための枠組みとなるものである。

 

原文タイトル:A vegan diet signature from a multi-omics study on different European populations is related to favorable metabolic outcomes

論文著者:Anna Ouradova, Giulio Ferrero, Miriam Bratova, Nikola Daskova, Alena Bohdanecka, Klara Dohnalova, Marie Heczkova, Karel Chalupsky, Maria Kralova, Marek Kuzma, István Modos, Filip Tichanek, Lucie Najmanova, Barbara Pardini, Helena Pelantová, Sonia Tarallo, Petra Videnska, Jan Gojda, Alessio Naccarati, Monika Cahova

公開日: 2025/12/31 

論文URL:https://doi.org/10.1080/19490976.2025.2593050

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