中国の高齢者における死亡率とプラントベース食との関係

論文概要

 

プラントベースの食事パターンは、健康や環境に及ぼす影響の観点から望ましいとされているが、死亡率との関連についてはさらに探索する必要がある。本研究では、中国の縦断健康長寿調査 Chinese Longitudinal Healthy Longevity Surveyに登録された65歳以上の成人13,154人(女性57.4%)を対象としてこの問題を検証した。食物摂取頻度調査票(簡易版)で収集した食事データから、プラントベース食総合指数(PDI)、健康的なプラントベース食指数(hPDI)、不健康なプラントベース食指数(uPDI)を算出した。

五分位のグループ間で比較した場合、PDI と hPDI が最も高いグループの参加者は、最も低いグループと比較して全死亡リスクが低下していた(PDI に関するハザード比* HR = 0.92, 95%CI 0.86 – 0.98; hPDI に関する HR = 0.81, 95%CI 0.76 – 0.87)。一方、uPDIのスコアが最も高い参加者グループでは全死亡リスクが17%上昇していた(95%CI 0.09 – 0.26)。植物性食品のうち、新鮮な果物・新鮮な野菜・豆類・ニンニク・ナッツ類・茶が主要な予防因子となっていたが、保存野菜と砂糖は死亡リスクの上昇と関連があった。

これらの結果から、総合的にプラントベース食品の割合が高いこと、および健康的なプラントベース食品の割合が高いことは、死亡率を低下させるうえで有益であるといえる。食生活に関する公衆衛生の指針では、プラントベース食品の量だけでなく、その質が重要であることを強調する必要がある。

* 単位時間当たりにイベントが発生する相対的な危険度(ハザード比が0.92の場合、危険度は0.92倍となる)

 

原文タイトル:Plant-based dietary patterns in relation to mortality among older adults in China

論文著者:Hui Chen, Jie Shen, Jiaqi Xuan, Anna Zhu, John S. Ji, Xiaoran Liu, Yaying Cao, Geng Zong, Yi Zeng, Xiaoxi Wang & Changzheng Yuan

公開日: 2022/03/07 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s43587-022-00180-5

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