人間と動物の苦しみに関連する脳機能ネットワークは、雑食者、ベジタリアン、ヴィーガンで異なる

論文概要

 

同種個体(同じ種の他者)に対する共感や感情的評価は、社会的相互作用の主要な特徴の一つである。本研究では機能的MRI(fMRI)を用い、倫理的理由から食習慣を選択しているベジタリアンおよびヴィーガンが、人間や動物の苦痛状況に対して、雑食者とは異なる脳反応を示すのではないかという仮説を立てた。

被験者として、雑食者20名、ベジタリアン19名、ヴィーガン21名を募集した。各群は性別および年齢でマッチさせた。脳活動はfMRIのイベント関連デザインを用いて測定し、人間および動物に関するネガティブ感情価の画像(切断、殺害、脅威、拷問、傷などを示すもの)を観察している間の活動を解析した。被験者は、人間または動物に関連するネガティブな情景と自然風景の画像を交互に提示された。

人間に関するネガティブ情景の観察中、雑食者と比較して、ベジタリアンおよびヴィーガンでは前部帯状皮質(ACC)および下前頭回(IFG)の活動増加が認められた。さらに重要なことに、動物に関するネガティブ情景の観察中には、彼らは扁桃体の活動低下とともに、舌状回、左楔部、後部帯状皮質、そして前頭葉を中心とする複数領域(ACC、IFG、中前頭回を含む)の活動増加を示した。

また、ネガティブ情景への反応において、ベジタリアンとヴィーガンの間にも顕著な差異が見られた。ベジタリアンは、人間のネガティブ情景に対して右下頭頂小葉を選択的に動員し、動物のネガティブ情景に対してはACCの優位な活性化を示した。一方、ヴィーガンでは、動物のネガティブ情景に対して下前頭前皮質の活動増加が観察された。

これらの結果は、異種個体(人間以外の動物)に対する共感の神経表象が、食習慣の異なる個人間で異なっていることを示唆している。これはおそらく、動機づけ要因や信念体系の違いを反映している可能性がある。

(本文 Figure 2より)

 

原文タイトル:The Brain Functional Networks Associated to Human and Animal Suffering Differ among Omnivores, Vegetarians and Vegans

論文著者:Massimo Filippi, Gianna Riccitelli, Andrea Falini, Francesco Di Salle, Patrik Vuilleumier, Giancarlo Comi, Maria A Rocca

公開日: 2010/05/26 

論文URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2877098/

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